第七十五話 交渉が成立する時
その問いかけに対する各国首脳の返答は
「……分かりました、そちらの要望にお応えし協力致しましょう、ですが何故貴方達はこの様な形で一部を分断する形を取ったのです?
地球全土に対して全面的な協力要望を出した方がいいのでは?」
というこの状況では最善と思える、だが一方で疑問を呈せざるを得ない部分については質問するというものであった。
「それは簡単です、これだけ大掛かりな話を世界中の人々に信じてもらうのは並大抵の事ではありません、そうしている間にも襲撃を受けるリスクがあった以上、まずはある程度人数を絞り、その上で徐々に拡張していくのが最善の策だと思考した為です」
その質問に対し高御がこう返答すると首脳達は何処か拍子抜けしたような、しかし一方で納得したような表情を浮かべる。
「勿論我々も只協力を要請するだけではありません、此方側の技術も様々な形で貴方方に提供しより高い生活が送れる様に協力させていだきます」
そう告げると高御は各国首脳の方に体を向け直し、そのまま深々と一礼を行う。
しかし一同は忘れていたのか、それとも敢えてそうしたのかは分からない事があった。
この会見の一部始終はメディアで放送されているという事を。
当然今の一部始終も包装されており、この事はそれぞれの国の国民が瞬く間に知る事となる。
「大丈夫なの……あんな得体のしれない連中との戦争に巻き込まれるなんて……」
「だが遅かれ早かれ戦争にはなっていたかもしれない、それに俺達に戦場に出ろと言っているわけじゃないんだ」
その甲斐d名を目にしていた一部の国民がこう話している事からも分かる様にその動揺は各国首脳と同等或いはそれ以上である。
最も、それも致し方ない部分もあると言えばあるのだが。
「あ、各国首脳の方が会場を後にしていきますよ。
恐らくは近い内に緊急会見でしょうね」
最早諦めの境地に達したのか、ある種あっけらかんとした口調で一部の国民が各国首脳がその場を後にした事を告げる。
無論この国民も又内心では分かっているのだろう、最早緊急会見等無意味でしか無いと言う事を。
「さて、これで協力は取り付けた……これから先、次が来る前に此方の準備を整えておかなくては」
首脳達を見届けた高御はそう呟くと彼自身も何処かへと立ち去っていく。
その行く先は彼等の組織の本部であった。
「君達、今回はお疲れ様、初戦として考えるとかなりいい戦いが出来たと思うよ」
室内に入った高御は何処からともなくこう言葉を発する。
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