第七十三話 三人が戦場に立つ時

「此処から先には行かせない、この機体に付けた名称、平穏の闇を実現する為に」


神楽はそう言うと両目を閉じ、何かに意識を集中し始める。

そしてそれが終わると


「XLinkシステム起動……見えた!!フィールド展開」


と言って平穏の闇と呼んだ機体の中心から黒いバリアの様な物を出現させそれで空に出現している渦の中心部分を包み込む。

するとその中から出てこようとした兵器が激突した瞬間に霧散し、その姿形が一切見えなくなる。


「何!?我々の機動兵器が接触した瞬間に……」


何が起こったのか分からず困惑する機動兵器のパイロット達を追い込む様に神楽が出現させたバリアは更に収縮を始め、その渦そのものを消滅させていく。


「流石ね神楽、渦そのものを消滅させる事で後続を断つとは。

私も続くわ、行くわよプルート・ミカエル!!」


そう言うと天使の様な外見の機動兵器に乗ってエリーが其の戦場に姿を表す。

そして神楽と同じく


「XLinkシステム起動……捕えたわ!!スピサール放射」


と叫んで頭部に装備されている何かを発光させ始める、すると其の直後兵器のパイロットは


「あ、ああっ……ああっ……」


と兵器を操作する動作を止め、頭を抱えて苦しみだす。


「私の能力も効果あるみたいね」


エリーは何処か安堵した表情でそう告げるが兵士は


「ああ……ま、まだだ……」


と告げると何かのスイッチを押し、其の直後に兵器が再び動き始める。

そこに大型空母とも取れる様な外見の神楽、エリーの機体よりも一回り大型の機体が出現する。

其のパイロットは


「直視分析……成程ね、XLinkシステム起動!!ジャミンガー展開」


と言った声色から七宝で有る事が分かる。

七宝の乗って居る機体はそう告げると機体の左右に展開されたスラスター部分から何かを放射し、それを謎の機動兵器に照射する。

すると其の機動兵器は突然動きを停止し、そのままお互いに武器を向け合い今にも同士討ちを始めようとする。


「ふふっ、さてお楽しみは~♫」


七宝がそう言いかけるとエリーは


「駄目よ七宝、奴等は生け捕りにして情報を聞き出すんだから」


と七宝を嗜める様に告げ、それを聞いた七宝は


「あら、分かっているわよ。

相変わらず冗談が通じないんだから」


と戯けた様子で返答するものの、その表情は若干残念がっている様に見える。


「エリーの言い方も少々どうかとは思うけど……いや、それは後回しでまずは連中の身柄を拘束するよ!!」


と言った神楽は先程と同じく機体の中心からバリアのような物を出現させ、其の中に交戦している機動兵器を吸い込んでいく。

いやそうではない、其の中めがけて機動兵器が望んで吸い込まれていく。

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