第十六話 会談の時

「では、マルティー人の皆さん、早速で申し訳ないのですが……」

「分かっています、私達が何故ここに来たのか、そこから説明すれば宜しいのでしょう」

「その点をご理解くださっているのであればお話は早いです。

お聞かせ頂けますか?」


地球側の代表者がマルティー人の代表者にこう問いかけるとマルティー人側の代表者は


「我々がここに来た理由、それは今此方を襲っている異変に我が方の反逆者が関与している為です」


と告げる。


「異変にマルティー人が関与している?どういう事ですか?」


地球側の代表者が問いかけるとマルティー人の代表者は


「ええ、我々の母星で行われた内乱、当初はそれは我々の母星だけを舞台にしていたのですが次第にその激しさは星間戦争の形相へと姿を変えていきました。

その結果多数の星に別れて争う事になった戦乱はより多くの星を巻き込み、次第にこうした元々戦乱に加わっていなかった星もその標的となったのです」


と流暢な喋りで説明する。

それを聞いた地球側の代表者は


「しかし、それと現在地球に起こっている異変とに何の関連が……それに地球には戦力となる物等……」


とその説明に疑問をぶつけるがマルティー人の代表者は


「いえ、反逆者側の狙いは物ではなく生命、つまり人です。

彼等は人を兵士として育成し、星間戦争に投入するつもりなのです。

既に幾つもの星で同様の事案が何件も発生しています、恐らくは閉鎖された地域の中に居る人々も……」


と話し、地球側の代表者の疑問に答える。

だが一方でその表情と声は何処か焦燥感を感じさせているようにも見える。


「つまり、あの中にとらわれてしまった人は既に兵士として教育されていると言う事でしょうか?」

「はい、既に相当なレベルで兵士として教育されていると考えてまず間違いありません。

他の星においても同様の事案が発生していますから、しかし救助や阻止が出来たケースも無い訳では無いので希望は捨ててはいけません」


こうして地球側の代表者とマルティー人側の代表者がそれぞれの事情を話し合い、会談の終わりの時間へと近付いていく。

その様子を見ていた神楽の母は


「まさかそんな事が起こっているなんて……もしかしたら今回の事件は……」


と大きな不安を感じさせる声を上げ、神楽の父も


「ああ、俺達が想像しているより遥かに根深い何かが渦巻いているのかも知れないな」


と不安を口にせずには居られないようだ。

そして最終的に双方の代表者が出した結論は


「分かりました、そちらに協力しましょう」


という物だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る