第十七話 交渉が終わった時

協力を了承した地球側の代表者とマルティー人側の代表者はその場で契約書類に印を刻み込み、その場でお互いに協力を誓いあう。

だがその光景を見た神楽の父は


「何だ?異星人との交渉という割には随分あっさりとしているな。

逆にこれで大丈夫なのかと不安になる」


と交渉がトントン拍子に進んだ事に対して何処か不安を内心に抱えているような印象を受けた様だ。


「貴方、今はそんな事を言っている場合じゃ……」

「分かっている、何もあの宇宙人と協力体制を取るなと言いたい訳じゃない。

只、相手が宇宙人である以上腹に一物を抱えている可能性は考えておくべきだ」


神楽の母は父を諭そうとするが、神楽の父は自分が協力をするべきではないと言っている事を告げる。


「ああ、だがこれでこの事件については大きく動きだすだろうな。

その上で事件の解決を目指せると良いんだが……」

「ですが逆を言えばこれは既に地球全体が星間戦争に巻き込まれていると言う状況でもありますね。

その点が今後どう響いてくるか……」

「そんなのは誰にも分からねえさ、だからこそ危険な事もしなければならないんだ」


神楽の両親と男性スタッフが今後の事に対して想像し続ける中、画面の奥に居る地球側の代表者が


「さて、協力する事を決めたは良いのですが一体何をすれば良いのですか?」


とマルティー人側の代表者に問いかけるとマルティー人の代表者は


「まずは此方の状況と地理や文化の情報を提供して頂きたい。

その代わりそちらにも此方が持つ情報や技術を提供致します」


とまずは技術と情報の交換を試みたい事を告げる。


「まずは情報と技術を得たいと言う事ですか、まあそれは定石でしょうからね」


地球側の代表者もそれには納得した様でそれに対して了承する。


「ええ、勿論そちらに対しても此方の技術を提供する為、ある程度使用出来る様には訓練して頂く事になります」

「つまり、此方の民間人もある程度の戦闘をこなせる位にはなってほしいと?」

「ええ、既にあちら側が地球の人々を兵士にしているのであればその人達を此方への戦力として送り込んでくる可能性もあります。

その際に一方的にやられてしまっては流石に此方も対応しきれませんので」


その後地球側の代表者とマルティー人側の代表者による交渉の具体的な内容が固まっていき、最終的にマルティー人側の技術をある程度地球側も使える様にすると言う点が当面の目的となると言う事を告げる。

その光景が終わった後、会談場から中継映像が移動した事で交渉が終わった事が誰から見ても分かる。

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