第十四話 来訪者が現れる時
すると直後に映像が会見の物に差し替わり
「皆さん、昨年のあの謎の減少の解明もままならぬ中、突如として今度は青色の光がここ、国連ビル全域を照らす様に広がっておりさらなる混乱が予想される中、この様な会見を開く事をまずはお許し頂きたく存じます」
という声と共にサミット開催代表者の挨拶が入る。
「挨拶は良い……何が起こっているのかを早く説明してくれ……」
神楽の父は焦燥感を感じさせる声と表情を見せながらこう呟く、先程神楽の母には落ち着く様に叱責したものの、やはり父もこの状況には動揺、困惑を感じざるを得ない様だ。
「ですが皆さん、あの青い光は我々に絶望を齎す者ではありません、あの中から出てきた戦艦に乗っているのはマルティー人と言う私達とは全く違う星に住む人々です」
会見に応じている人物は大声でこう告げるが、それを聞いた神楽の父と母は
「マルティー人!?つまり異星人が態々こんな所に来たってこと!?
と恐らく多くの人が感じているであろう混乱した表情を浮かべていた。
その様子は部屋を訪ねてきた男性スタッフも同様であり、彼等も又この事態については知らなかった事が伺える。
「突然の宇宙人宣言にあの戦艦……この世界は本当に宇宙戦争でも始めようというの……」
「だが、代表はマルティー人を私達の希望であるとも言っていた、だとしたら彼等は敵や侵略者という訳では無いのかも知れない」
困惑を続ける神楽の母に対し父は少し冷静さを取り戻したのか母を嗜めるような言動を取る。
その言葉に少し安心したのか神楽の母も
「そうね……それが一番私達にとって望ましい話ね。
代表もそういった方向であるからこそこの会見を放送したのかも知れないし」
と少し安静を取り戻した声を上げる。
「そして彼等マルティー人が提供してくれる技術により、我々はあの紫の光を突破出来るかも知れないのです。
ですから皆さん、どうかこの状況に絶望する事無くまずはマルティー人の皆さんと交渉のテーブルに付く事を考えて下さい!!」
会見が進み、サミット開催者がこの様に発言すると会場からは換気の声が巻き起こる。
一方それをモニター越しに見ていた神楽の両親は
「本当にそんな事が可能なの……そもそもそのマルティー人というのは何故ここに来たの?だけどもし本当なら……」
と脳内で疑念と希望が戦っていた。
「兎に角今は会談の様子を見守るしか無いのではないでしょうか?」
男性スタッフにそう促され、二人も続けて行われる会談の様子に目を向ける。
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