第十三話 空が光る時

「何かあったのですか?もしかして……」」

「残念ですが朗報ではありません、ですが凶報でもありません。

いえ、正確になると何方ともなり得る話です」


神楽の母が質問すると男性スタッフは残念そうな顔で奥歯に物が詰まった様な返答を行う。

それに対し神楽の父は


「何方ともなり得ると言うのは一体どういう意味でしょうか?」


と冷静に問いかける。

それに対して男性スタッフは


「まずはこれを御覧下さい、先程国連連合ビルの上空にこの様な物が出現しました」


という声と共に端末を手に持ちその上空の様子と思われる映像を見せる。


「これは……あの時のあれに似ているが色が違う」


その映像を見た神楽の父がこう呟くと端末には国連連合ビルとその上空に青色の光が渦巻いている光景が写っていた。


「あれ……あの時高御という奴が映し出された空ね。

確かに酷似しているけど今回は青色……今度は一体何が映し出されるというの?」

「それはまだ分かりません。そもそも何かが映し出されるのかどうかも分かりません。

ですが自然現象でこんな事が起こる筈がありませんので何かが起こるのは確実だと言うのが有識者全員の……いえ、今回の事件の関係者全員の見識です」


神楽の母もその映像を見て何かが起こる事を予想する。


「念の為、ビル周辺の立ち入りは一切禁止とし、遠隔地から中継で様子を伺っている状況です。

お二人にもこの状況、注視して頂けますか?」


男性スタッフにそう促されると神楽の両親は首を縦に振って頷き、室内に置かれているPCの電源を入れて中継に繋ぐ。

それから間もなく渦の中心から発光が見られ、それが時間と共に激しさを増していく。

そしてその激しさが増してきた直後に何かが姿を見せ始める。


「あれは……一体何!?」


その姿が見え始めると神楽の両親は声を揃えて驚嘆する。

その外見は今まで生きてきた中でも見た事が無い、いや、この世界に生きてきた人類全てが漫画や小説、アニメの世界でしか見た事が無い様な戦艦が出現したのだから驚嘆したのは無理も無いが。


「あれは一体……あの高御という存在が今度は武力行使をしようというの?」


神楽の母がそう告げると同時に緊急会見が行われるという字幕がその中継に入ってくる。


「緊急会見!?その会見を行うのは誰なの!?」


神楽の母が困惑した声を上げると同時にその会見を行うのがサミットを主催した団体の代表であると言う字幕が流れてくる。


「!?サミットの主催者が会見を行うって……どういう事なの!?」


先程から困惑した声を上げ続ける神楽の母に父は


「困惑しすぎだ、まずは会見を見るぞ」


と一喝し落ち着くように促す。

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