第四話 会話する時

一方、その神楽が連れられた先においては


「神楽、そっちはどう?」

「明帝か、まあ順調かな?」


と言う会話が交わされていた。

神楽が明帝と呼んだのは一週間前のあの日、同じタイミングで紫の光を浴びた少年の一人である。


「なら良いんだけど。

何しろ僕達の作戦はまだ始まったばかりなのだから」


明帝が総神楽に告げるとそこに


「なら、あの行動も作戦の一部だという事?一体何を目論んでいるの?」


と金髪の少女が訪ねてくる。


「エリーか。

それを態々聞いてくるという事はそれに関心があるという事?」


明帝がそうエリーと呼ばれた少女に問いかけるとエリーは


「ええ、そうでなければ態々貴方があんな事をするなんて思わないもの」


と返答する。

だがその言葉に対して表情は穏やかであり、明らかに責めている口調ではない。

寧ろ何か隠しているの?それを知りたいという好奇心に基づいた行動である様にその目には映る。


「ふふ、まあ後々分かってくるよ。

その内ね」


それに対して明帝は何処か秘密主義者的な返答をする。

クイズの回答を焦らす司会者の様な印象だ、そこに


「やれやれ、出会ってまだ間もねえのにどうしてそこまで仲良くやれるかね?」


そう告げながら黒人の少年がその場に現れる。


「クウォス……何もそんな言い方しなくても、良いんじゃない?」


クウォスと呼ばれたその少年は一同から少し離れた場所から声を掛ける。

その表情は神楽達とは対象的に硬めであり、まだ周囲の面々に対して警戒心を抱いているようだ。

諭す様に告げる神楽の言葉もどちらかと言うと虚しく響いているような印象を受ける。


「まあ、貴方の事情も理解してはいるけど……それを何とかする為に私達はこうして活動しているんじゃないの?」

「まあ、あの子供の言う事が全て本当であればな。

だが戦乱は常に騙し騙されの側面があるって事、忘れんじゃねえぞ」


神楽に続けてエリーもタイラーに対し諭すような発言をするが、それについてもタイラーは何処かつっけんどんな対応である。

その顔は険しく、年齢不相応な経験をしてきたような印象を覗かせる。


「ふふっ、それでも当初よりはマシになったほうなんじゃない?」


そこに更に黒髪で単発の活発そうな少女が姿を見せる。


七宝しちほうまで来てたのか、こうして数人で顔を合わせるのは久し振りだね」


明帝がそう告げると七宝と呼ばれた少女は


「ええ、最初に出会った時以来かしら?まあ、個人としてはちょくちょく会っていたけど」


とあどけない笑顔で返答する。

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