第五話 全員が揃う時

「こうして全員揃ったというのは一週間振りね、そしてその結果、海練は次の段階へと移行する」


そこに最後の一人であるブロンドヘアーでポニーテールの少女も姿を表す。


「それついさっき私も同じ事言ったんだけど、と言うよりパウも来たのね」


七宝がこう告げるとパウと呼ばれた少女は


「ええ、此方での作業は粗方終了したから。

そしてそろそろ高御様、ミスティ様のご演説が始まる頃よ」


と返答する。

その言葉通り直後にその場に高御とミスティが現れると一同は彼等の方を即座に見て膝を付いた姿勢を見せる。

クウォスだけは少し動作が遅かったが、それでも膝は付いており反発しているという訳ではない様だ。


「そんな堅苦しい姿勢を取らなくていいよ。

それじゃ目を合わせるのも大変でしょう」


高御がそう告げるとパウは


「高御様……しかしわたくし達は貴方方より力を受け取った存在、そしてそれが世界を変えようとしているというのですから……」


と言いかけるがそこにミスティが


「私達は貴方達を配下にしている訳じゃない、いえ、組織上は配下になるのでしょうけどそんな上下関係で貴方達を見ては居ないわ。

だから顔を上げて」


と諭す。

その言葉を聞き入れたのか神楽達は足を上げて立ち上がり、再び目を高御とミスティの方に向ける。


「それぞれがやってくれた戦果については既に目を通しているよ。

僕達の想像以上にやってくれてる」

「それは嬉しいお言葉です、ですがそれは即ち……」

「分かっているわ、それだけこの世界が悲劇に見舞われていると言う事でもある、でしょう。

だからそれを止める為にもこのまま放置しておく訳には行かないわ」


高御、神楽、ミスティが言葉を続けていくと他の面々も黙って頷く。


「ええ、その為にこの一週間は動いたと言っていい。

まだ世界では相次ぐ行方不明事件程度の報道しかなされてませんが」

「だけど油断は出来ないわ。

報道機関ではその程度だとしても裏側では既に組織的な行動である事を気付いている存在がいるかも知れない」

「ああ、だから近々作戦を第二段階に移行するよ。

まあ、そこからが本番であると言っても良いかもね」


明帝の発言から彼等はこの一週間何らかの行動を起こしてきた事が分かる。

そしてどうやら彼等の行動は神楽の両親に警察官が話していた行方不明事件と関係しているようだ。


「全く、間の抜けた話だよな、世界中で起こっているのに一国だけで起こってる様に見せるなんて」

「それだけプライドが高いという事なのでしょう。

そしてだからこそ、私達が付け入る鋤がある」


クウォスがこう告げるとミスティは何か含みを持った言葉を付ける。

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