第二話 交わる時

高御によって連れられた神楽はこれまで全く見た事が無い機械やそれによって作られている通路の中を進んでいた。


「一体ここは何処……この通路も全く見た事が無い」

「それはそうだよ、だって僕達がここで作り出した技術なんだから」


先程から全く状況が飲み込めず、只困惑しながら流されている神楽に対し、高御は何処か得意げに、しかし穏やかな口調でこう告げる。

だがその言葉の内容は神楽を益々混乱させるだけであった。


「君が作った?この通路を?」

「僕だけで作った訳じゃないよ。さっき僕達って言った筈だけど」


聞き直す神楽の問いかけも高御には届いていないのか、その返答は何処かずれている感がある。


「さあ、付いたよ。

ここが君達に来て欲しかった場所だよ」


高御に促されるままに連れてこられた神楽が通された部屋に入ると、そこには中心に紫水晶の様な輝きを放つ巨大な石が浮遊していた。

それ以外は何もない、そう思える特異な部屋であった。

いや、性格には何も無いと言う訳ではない。

神楽以外にも同年代、又は若干年下と思えるような少年少女が六人、、いや七人集められていた。

その中の一人、金髪の美少女と言える外見をした高御と同じ位の年齢、体格の少女は


「高御、貴方が連れてきたその子が最後なのね」

「うん、彼で最後だよ。

ミスティの方が先に戻ってきていたんだね」

「ええ、話が早いと言うか、何というかね。

只、これで漸く始められるわね」


高御に対して親しげに話しかけている所や名前で呼び合っている状況から考えると恐らく彼等だけが顔見知りなのだろう。

他の面々はただ黙っているだけである。

だがその沈黙も程無く破られる。

その中の一人が


「ねえ、私達をここに集めて一体何を始めようとしているの?そろそろ教えてくれても良いんじゃない?」


と口火を切るとミスティと呼ばれた少女は


「それは私達の口から説明するより実際に自分達で感じて貰った方が早いと思うわ。

ねえ、高御、そろそろ始めた方が良いんじゃない?ここに集めた気持ちが冷めてしまうわよ」


と高御に促す様にすると


「そうだね、そろそろ始めようか」


と告げて水晶の上に乗る。


「あの水晶、上に乗れるの?」


水晶に乗った事に対して一人の少女が驚きを見せると高御は


「ふふ、この位君達も直ぐに出来る様になるよ」


と良い、その水晶から推奨と同じ紫色の光を放ち、それをその場に集っている少年少女達に当てる。

そしてそのまま部屋中が紫色の光に包み込まれていく。

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