夢にまで見た異世界転生の先はFPSゲームの初期地で詰んだんだが
二八乃 奇雷
第1話 こんなの望んでないって!
いつも通りの起床時間。いつも通りの制服姿。いつも通りの通学路。
あぁ、退屈だ。
普段画面に張り付いて見ているファンタジーな異世界転生アニメみたいに急に足元に魔法陣でも現れて、勇者様になってみたいものだ。
平田 そよぎ、高校二年生。趣味は異世界転生系のアニメを見ること。
平々凡々な高校生の彼がそんなことを思いながら歩みを進めていると、急に爆音の銃声が鳴り響いた。
「うわっ!?なんだよこれ!ちょっ、眩し…!」
眩い閃光に目を焼かれて辺りが見えない。聞こえるのはむさ苦しい男共の声。まだ寝ぼけているのだろうか。
「おい!そよぎ!始まるぞ…!気ィ引きしめろ。」
「えっ、誰?」
筋骨隆々な男の1人がそよぎに話しかけてきた。彼のクラスメイトにこんな奴は居ない。
「何言ってるのよ、こんな時に冗談は辞めてちょうだい。」
続いて話しかけてきた女性の顔は、ゴーグルや防具でよく見えないがおそらく美人である。
「いや、ほんとに分からないんですが……ん?これ夢か…?なら、現状を楽しめばいいや」
あまりにも非現実的な状況を受け入れられないとき、人は夢だと思うらしい。
「夢?馬鹿野郎、これは現実だ」
げんじつ…?ゲンジツ……。現実……?
当たり前の言葉なのに理解するのに脳の処理が追いつかない。
しかし、一つだけ思い当たる節があった。
毎晩毎晩見ていたアニメの世界観、第1話あるある。
「まさか……俺、異世界転生した!?」
いやいやいや、ありえない。そう言いながらもげそうな程に首を振る。すると男がまた話しかけてきた。
「1人で何言ってんだ。そろそろ飛ぶぞ!」
おもむろに立ち上がって飛行機の出口へと向かう。なぜドアが開いているのか。危ないにも程がある、そんな思考と同時に、謎の恐怖がそよぎの体に襲いかかった。
そして1つの認めたくない答えは導き出される。
「飛ぶって…まさかこの飛行機から飛び降りるの?ちょっと待って無理無理無理!」
「早く行くわよ。ほら!」
2人に腕を引かれて空へ飛び立ったそよぎ。生まれて初めての浮遊感。戸惑いと飛び出そうな内臓を飲み込み、代わりに出たのは情けない悲鳴だった。
「うわぁあああああああああああっ!」
平田 そよぎ。平々凡々な高校二年生。彼の人生はこの時を境に急変した。
「こんな異世界転生、俺は望んでないってぇぇぇぇぇっ!!」
あとがき
はじめまして、
この作品で初めてのカクヨムデビューしました。
たくさんの方に手に取っていただける作品になるよう精進致しますので、今後ともよろしくお願いします。
夢にまで見た異世界転生の先はFPSゲームの初期地で詰んだんだが 二八乃 奇雷 @nya_ki
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