2人
高校で同じクラスになった私達は距離が近づいた。周りからもよく冷やかされた。私はそれが少し嬉しかったけど、高矢くんはどう思ってたんだろう。一緒に帰ったり、一緒に出かけたり、私たちの関係は何だったんだろうと時々考える。
でもあの頃の私はそれで十分幸せで、それ以上なんて求めていなかった。
〜
同じクラスってなんて幸せなの!授業中に高矢くんの横顔をチラ見しては気付かれる。変な顔をして寝ていたのを見られて笑われる。幸せ!
でも、
「リレーの選抜選手なんていやあああ」
「絶対可笑しいよ、この佐藤亜子だよ?間違ってるよ。私リレーなんて出たくない!」
体育大会のリレーの選抜選手に選ばれてしまった。
「練習で一緒に走りに行こうよ」
同じ選手の高矢くんの一言で気分は一転する。
「行くしかないね!」
そう答えた私の頭の中は2人で出かけることで頭がいっぱいだ。
(どうしよう、今までなんだかんだみんな居たけど2人!?)
高矢くんは本気で練習したいのだろう、コースを考え始めている。
当日。迎えに来てくれた。
初めての2人に緊張してどうにかなりそうだ。それでもいつも通りに笑う。
「チャリここに置いていく?」
「そうしましょう!」
私なんかよりも走るのがずっと走るのが早いのにペースはずっと合わせてくれる。
「しんどくなったら休憩しようね」
「私すぐ疲れそう」
「休みながらね」
私の隣を高矢くんが走ってる。初デートがランニングなんてのもいいのかもなんて浮かれながら、「最後は全力で走ろうよ」と提案した。
「よーーーいドンっ!」
2人で並んで走った。
「全然本気で走ってないでしょ!」
「え、だっておいてけないでしょ」
私だけ1人で全力で走って、高矢くんは余裕で微笑んでいる。完全にやられた。
〜
「あ、7月12日のお祭りダンス部踊るの知ってる?」
「そうなの?」
「私は美奈みたいから見に行こうよ」
「いいよー、たまには2人もいいね」
みんなでのつもりで誘った私は何も言えずに、汗ふきシートを取り出した。
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