Love, & after.
「まってください」
止まらない。酒彩。
「酒彩っ。とまれっ」
「大きな声を出さないでよっ。期弥が起きたらっ」
「じゃあ止まれっ」
「いや。しなせてよ。もう。限界、なの。もう耐えられない」
「おれが二人とも好きになれば、いいんだろっ」
酒彩。振り返る。
「正直。正直に言う。おれには分からない。あなたを好きになれるかどうかも。期弥に、しにたいって言われたときも、どうしていいか分からなかった」
空の紅さを、いちど、目に焼き付ける。
そう。紅く。
「でも、そんなのどうだっていい。ここにいる三人。全員が全員、好きになればいい。それでいい。独占しようとしなければ。きっと、期弥もそれを、伝えたかったんだと、思う」
期弥。さっきの声で、目が覚めたらしい。こちらを、やさしく、見つめてくる。
「期弥。ごめんね。うまく言葉がしゃべれないっていうの、おれ、知らなくて。ひどいことを」
「ごめんなさい。私。ぶつかって。血が」
「大丈夫。ちょっと切っただけだから。おれのこと、わかる、かな」
期弥。真剣な、顔。
「喋れる、かな?」
「喋れる」
「おねがい。俺の、おれと期弥の深層心裡を、酒彩に」
期弥が、立ち上がる。ちょっとふらふらして、それでも、酒彩に、ぶつかっていく。
やさしく、抱きついて。
期弥が、自分から。喋った。
「好き。みんな、みんなみんな、好き。大好き」
「期弥」
空の紅さに、照らされる。
三人。
「わたしも。わたしも、好き。大好き」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます