バース再び
さて。
今回のイベントに参加して、1つ興味深かったのは、外部生の俺たちにも上級生たちは、普通に勧誘活動を行っているということである。
学年が上がるごとに内部生と外部生の対立構造が薄くなっていくということだろうか?
中には『外部生お断り』というプラカードを掲げている研究会もあったが、どちらと言うとそういう組織の方が少数派であった。
「この世界から戦争をなくしましょう!」
「魔滅研に入って、共に平和な世界を築くのです!」
んん? なんだろう。あれは。
暫く歩いていると今までの研究会とは、少し毛色の異なる怪しげな団体を発見することができた。
魔術撲滅研究会というプラカードを掲げた男たちは、中央広場の一角を我が物顔で占拠しているようであった。
ふうむ。
俺には理解のできない感情だな。
お前たちは魔術を学びに学園に来ているのではないのか?
どうしてそこで『魔術を滅ぼす』なんていう発想が出てしまうのだろうか。
「今こそ『魔滅研』に栄光の光を! 革命の時代(とき)は今、目前にまで迫っているぞ!」
えーっと。今、どこかで聞いたような声がしなかったか?
俺は目を細めて、声のする方を凝視する
そこで俺を待ち受けていたのは、更なる驚愕の光景だった。
「……んん?」
思わず驚きの声を漏らしてしまう。
やはりと言うべきか、魔術を撲滅すると大声を張り上げているのは、見覚えのある人物だった。
な、なんということだ。
お前、ボンボン貴族(兄)、バースじゃないか。
同じ学園に入学したという話は聞いていたが、こんなタイミングで再会を果たすとは思いも寄らなかった。
暫く見ないうちに貧相な体つきになっているな。
不健康に痩せ細っている割には、目つきだけやたらと鋭く、そこがまた何とも言えない薄気味の悪さを醸し出していた。まるで痩せたトカゲだな。
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