新人勧誘
「そうッスね。たしかに自分は体を動かすのが好きなので、興味がないでもないんスけど……。師匠も一緒でいいんスかね?」
「え? 師匠っていうと、そっちの琥珀眼の彼かい?」
「はい! 自分で試合に出られるなら、師匠なら即、不動の大エース間違いなしッスよ!」
「えーっと……。それはちょっと……どうなのかな……」
テッドの言葉を受けたセガールは、気まずそうに目を泳がせる。
まあ、無理もない。
この時代の人間にとって『琥珀眼』の魔術師は、ロクに魔術を扱えない落第生の象徴のような存在らしいからな。
セガールが声をかけてきたのは最初からテッドが目当てで、俺については眼中になかったのだろう。
「なんだ! これは一体どういう状況だ?」
「主将! こ、これはその……」
俺たちの間にやたら恰幅の良い1人の男が現れる。
その男は先に話かけてきたセガールとかいう上級生と比較して、更に高級そうな頑強な鎧を身に着けていた。
「……有望そうな新入生を見つけたのですが、部に入るための条件としてそっちの彼と一緒という条件を提示されまして」
気の弱そうなセガールが『主将』と呼ばれる男にコソコソと耳打ちをする。
「ハハハッ。当然そんなもの、認められるはずがないだろう? 劣等眼なんかが入っちまった日には、我が研究会の名誉は地に落ちたのも同然だからな!」
はあ。あまりにストレートな物言いに溜息しか出ない。
だが、この展開は俺にとってはある意味、好都合なものだった。
はなから俺を必要としないのであれば、この場から離れる恰好の理由ができたというものである。
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