チーム分け

「それでは、チーム分けするぞ。全部で30人だから、8人チームが2つの7人チーム2つでいいな。各自、名前を呼ぶぞ。まず、Aチーム」



 カントルが名前を呼んでいく。

 ふとBチームを呼び終わった辺りで違和感を覚えた。


 Cチームのメンバーの名前を点呼した後、テッド以外の誰もが異変に気付いていた。



「で、残った7人がDチームだな」


「わーい! 師匠と同じチームッスねー!」



 やれやれ。お前っていうやつは何処までも呑気なのだな。

 異変に気付いた俺たちチームの中には、早くも暗雲が漂い始めていた。



「あの、先生。このチーム分けって……?」



 俺と同じチームに分けられた、気の弱そうな黒髪の少女が戸惑いの声を上げる。



「何か不満か? それぞれ見知った相手とチームを組んだ方が戦いやすいだろ?」



 なるほど。

 俺は昨日の言葉を思い出した。



『お前、明日の授業で覚えておけよ! 絶対に大恥をかかせてやるからな!』



 これで納得がいった。

 昨日の言葉は単なる捨て台詞ではなく、今日の体育の時間を見越してのものだったのだろう。


 事前に知っていたということは、内部生たちと体育教師はグルだったという可能性もあるな。



「分かってはいると思うが、相手プレイヤーに干渉する魔術は禁止だ。そしてもちろん、身を守るための身体強化系魔術の使用は問題ないぞ。各自、自己責任でケガには十分に気を付けて試合するように」



 カントルが俺たちの方を見てそう言う。

ふう。まるで怪我をしても『我関せず』とでも言いたそうな台詞だな。



「では、AチームとBチームは奥のコートへ。CチームとDチームは手前のコートに移動だ。各自準備が出来たら知らせるように」



 カントルがパンッと手を叩く。

それを合図に生徒たちが私語交じりに立ち上がってコートへ移動する。



「へへっ。よろしくな。劣等眼。これで昨日の借りは返してやるぜ」



 すれ違いざまに昨日の内部生が俺にそんな言葉を投げかけた。


 はあ。

 あまりにも露骨なチーム分けに逆に感心をしてしまいそうになる。



 俺たちの対戦相手であるCチームは、ここ最近、外部生に敵意を剥き出しにして絡んできた内部生たちだったのだ。



 やれやれ。何を仕掛けてくるのやら。

 こうして俺たち外部生チームは、ひょんなことから内部生たちと戦うことになるのだった。




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