ポヤとペペとキス

いつかの時代のどこかの星。戦争で両親を亡くした孤児のポヤは、戦争で心の壊れた大男のペペと2人暮らし。

ペペは大きな音や強い光に反応するとパニックを起こして泣いたり叫んだりえずいたり、その辺にある物を構えてキョロキョロしたりする。

そんな時、ポヤはねぐらの隅っこに縮こまってペペの異変が落ち着くのをただただ待っていたけれど、ある日ペペがポヤにすがりついて「ごめんなさい」と叫び始めたので、ポヤはペペの頭を撫でながら「ペペ悪くないよ」と言ってみた。頭を抱きかかえてキスもしてみた。

するとペペは少しだけ、本当に少しだけだけれど落ち着いたようで、ポヤの身体に頭を預けたまま嗚咽を漏らした。


「大丈夫、大丈夫」


ポヤはペペを慰めながら、ペペにキスをし続けた。


それからもペペは度々パニックを起こした。その度にポヤはペペの頭を撫でて、キスをしてあげた。「大丈夫」「ペペ悪くないよ」と囁きかけてあげた。

ペペは少しずつ落ち着いて、ポヤの腕の中でグスグスと泣いた。




それから何年か経った今。ポヤは故郷の敵にあたる■■国で将校さんのお嫁さんとして暮らしている。将校さんやそのパパとママ、友達はとても優しいけれど、ご近所さんの中にはよそ者のポヤを差別する人もいて、ポヤはいつも我慢するけれど、1人きりになると泣き出してしまう。

すると決まって将校さんがとんできて、ポヤの身体をギュッと抱き締めて頭を撫でる。それから沢山キスをする。


「ポヤ、だいじょうぶ、だいじょうぶ」


将校さんは低い声の割に拙い言い方でポヤを慰める。ポヤはなんだかホッとして、将校さんのたくましい胸に顔をグッと埋める。

そして、昔将校さんを"ペペ"と呼んでいた時分、パニックを起こした彼の頭を撫でてキスをしてあげたことを覚えてるんだなぁと思って泣いてしまう。

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