第19話 救援
注意!この話は残虐表現多めです。
それでも良いという方、見ていただけると幸いです。
「お待たせ、エリセス。君の手伝いをしにきたよ。」
ルディアがそう告げる。
「ル、ルディア?ザクロスも...なんで?」
「だから、率直に言うと、助けに来たんだ。」
「助けに来たって...2人とも傷だらけじゃん!早く手当てを受けないと!」
2人は傷だらけだった。何か激しい戦闘があったのだろうか。だが、どうやって火を抜けてきたのだろうか。先ほどの水以外に、水を持っている様子は無く、銃剣以外には何も持っていない。
「さて、エリセス。アイツが敵なんだな?」
「え?ああ、うん。」
「良し、分かった。ザクロス、殺るぞ。」
「分かってるっつうの。俺を誰だと思ってやがんだぁ?」
「その勢いだ。行くぞ!」
そう言って、ルディアとザクロスはアイフに飛びかかった。
「誰だか知ら無えが、素人が2人増えたところで、なんも変わん無えんだよ!」
アイフも戦闘態勢を整えている。
「お前だろう?ベリィをあんな風にしたのは。」
「知ら無えよ!それが誰かも知ら無え!」
「なるほどな、このクズっぷり。反吐が出る。今ここで死ね。」
その直後、アイフの拳銃とルディアの銃が同時に発砲される。
パァン、パァンと2発の弾丸が飛んでいく。体に当たった訳では無いようだ。
さらに、銃剣とナイフで刃を交える。これは銃剣が不利だ。小回りが効かない。
だが、ルディアはそんな状況を覆すかの如く、刃を交えた状態で発砲した。
この近距離で撃たれたアイフだったが、首を曲げて間一髪、回避していた。
その瞬間が命取りだった。
暗殺者には、隙を見極める力が必要だ。
相手を殺す時に、最も殺りやすい瞬間を。そしてそれは、兵士にも共通する事だ。如何にして瞬殺するか、と言う事である。
アイフは知っておくべきだった。暗殺者以上に暗殺者適正のある者の存在を。そしてその男は、既に身を隠していると言うことを。
アイフが首を横に曲げた瞬間、草むらから1発の弾丸が発射される。当然、弾丸に気付くアイフだが、少し遅かったのだ。
頭を避ける事が出来たが、右腕に命中した。
「があぁ!何...。」
さらに、追い討ちを掛けるかの様に、ルディアが銃剣の剣を取り外す。
そして、そのままアイフの右腕を切り落としたのだ。
「ぐあああああああ!い、痛え。痛えぞ...。お前、なんて事してくれたんだ。ふざけるなよ...。」
「クズに腕は2本も要らないだろう。一本で十分だ。いや、1本も要らないな。」
すると、今度は左腕を目掛けて、数発の弾丸が発射された。
それらの弾丸は、アイフの左腕を貫く。
「左まで...絶対に殺してやる...!」
「腕も使えないクズが何を言ってるのか。お前だろう、死ぬのは。」
「おい、もう援護射撃は要ら無ぇよな?」
「ああ、充分だ。」
茂みからザクロスが出てくる。...この男、恐るべし!
「お前ら...俺の武器が手だけと思うなよ⁉︎」
アイフは立っているだけでも辛そうだ。そんな状況で、蹴りを入れようとすればどうなるか。
「あっ...。」
当然、バランスを崩す。
「何をやってるんだか。このクズは。」
「コイツがクズ野郎ってか?哀れなヤツだぜ、全く。すっ転んでやがるぜ。」
「お、お前ら...何者なんだ...!どこの暗殺者だ...?」
「暗殺者ぁ?俺らは一介の兵士だ。テメェみてぇにクズな事はして無い。ただの新兵だ。」
「新...兵...だと...?」
「そうだ。私達は新人なんだ。そんなヤツに負けて、人生終わるんだよ。お前は。」
「何だと...。」
アイフは絶望で頭を抱えている。それはそうだろう。今までのプライドが、こんなひよっこの兵士に壊されるのだから。
「ところでクズ。あそこの木って燃えているよな?あそこに人体を押し付けたらどうなると思う?」
「ヒッ...やめてくれ...やめてくれ...!」
「おいおい、俺らは聞いてるんだぜ?質問には答えろよなぁ、クズ野郎。」
「まあ良い、コイツにはそんな事をする資格は無い。」
そう言って、ルディアは本当にアイフを木の側へ連れて行った。ボクの時となんら変わり無く。
(ザクロス達...やっぱりさっきの見てたんだ...。)
そして、アイフの体を、
『木に押し付けた。』
「熱っ!熱い!熱いいいいいい!」
「ほらほら、こんな風に焼けるんだぞ、人体は。」
「やめてくれ、火、火を消してくれ!」
「残念ながら、水は残って無いんだ。」
「うがああああああ!熱い、熱いいいいいい!」
ルディア達こそ、本当に危ないんじゃ無いだろうか。ある種の狂気を感じる。
(...。あ、ザクロスは元々かも知れない。)
「良い声で叫ぶじゃ無ぇか。どれ、ちょっと刺してみるか。」
そう言って、ザクロスはアイフの足に剣を突き刺した。炎の中から血が噴き出す。
「つぅっ!痛い、熱い、やめ...。」
「火炙りってのは時間かかるそうだからな。場合によっては何時間とかも...。」
(うわぁ...。ルディア、エグいな。)
そんな事を考えていると、ルディアはさらに残虐な事を言い始めた。
「そろそろ飽きてきたな。殺すか。」
「そうだな、もう殺すか。」
アイフは必死に抵抗している様だが、もう勝ち目は無い。
「エリセス、銃を持ってこっちに来てくれ!」
「は?」
は?
何を言ってるんだ、ルディアは。
今そこで殺せば良いじゃないか。
「何を言ってるの?ルディア。今そこで殺せば良いじゃん。」
「良いから来て、エリセス。」
言われるがままに、ボクは銃を持ってルディアの元へ行く。
「エリセス、コイツを殺してくれ。」
「ボクが?なんで...。」
「コイツにとっちゃそれが1番の屈辱って訳だ。だからテメェが殺んだよ。
「...確かにね。分かった。ボクが殺るよ。」
そう言って、銃口をアイフに向けた。
アイフの体は、既に所々黒焦げになっていて、見るも無残な形になっていた。
「エ、リセス...。やめ...てくれ...」
焼かれるアイフから、呻き声の様なものが聞こえる。ボクはそれを無視した。
「じゃあね、アイフ。もう会う事は無いだろうけど。」
そう言って、ボクは銃の引き金を引いた。
ドガッ、という音と共に、血が流れる。ボクはアイフを殺したのだ。
「これで良いな。エリセス、良くやってくれた。」
「テメェの手柄にしても構わ無ぇ。コイツはさっさと死ぬべきだった。」
「アイフ、さようなら。」
アイフが死んだ直後、雨が降った。彼の死体を包む炎が、すぅっ、と消えていく。
彼の命が尽きたのを、暗示しているような雨だった。
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少し短くてごめんなさい。ちゃんと書ける様にします!あと宣伝しますね。
「武力戦線」あとがき集、小説として連載中です。詳細は、僕のページから飛べる、作品ページをご覧ください。
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