第11話 陸軍へ

  ルディア達の手紙を見た後、ボク達は陸軍の本部へと向かった。

 陸軍の本部と中隊の基地は別の場所なので、安全だった様だ。

 近くでは戦争が起こっている様で、銃声や雄叫びが聞こえた。

 ボク達は基地の中にある、この戦争のTOP、つまり参謀本部の偉い人だ。その人がいるテントの中へ通された。


 テントの中には、白髪の中年男性が座っていた。


「第230中隊所属、エリセス・アルヘルムです。」


「同じく、第230中隊所属のフィフォン・ゲイドです。」


「同じく、第230中隊所属のべナルト・サン・ハイドリヒです。」


「うむ、座ってくれた前。」


 最後の人誰...⁉︎あ、ベリィの本名があんなだったかな...。

 

「新兵諸君、よく生き残ってくれた。本当に、素晴らしい事だ。だが、中隊ごと壊滅してしまったらしいな。それに関しては、残念だった。」


「はい、そうなんです。それで、陸軍と共に戦ってくれというのが小隊長からの伝言ですので、ここに来た次第です。」


「成る程な...。分かった!諸君には戦場に行ってもらうのだが、ここから南に行った兵士達がどうやら苦戦している様でな。そこに参加してくれ。」


「承知致しました。」


「健闘を祈るよ、若き星達。」


 地図を見ると、本当に真っ直ぐ南下しているようだったので、迷う事なく辿り着けるだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「そろそろかな。」


「もうちょっとじゃない?」


 そんな話をしていると、兵士の集団が見えて来た。既にかなりの乱戦となっている模様だった。


「あれか!」


「多分ね!戦闘の準備をして!」


 体勢を整え、現場に行ってみる。

 そこには、20人程度のゲルン兵と倍近くのフレイス兵が居た。

 小隊どうしが接触して交戦になったのだろう。


「ゲルンの倍くらいはいるんじゃねえか...⁉︎」


「まずいね。勝てるかな...。」


 小隊どうしの戦いの中に、ボク達も参加する。

 至る所で銃声が鳴り響き、乱戦になる。戦争とはこれの事。それを痛い程思い知らされた。


「やっぱ、キツいかも...」


 フレイス兵を倒すが、ゲルンの兵士もやられていく。ただ、予想を上回って同数ちょっとくらいまで減らす事ができた。それでも10人以上はいるか...?


「これで...だいぶ戦況変わったんじゃない?」


「ここからが本番だぞ。気を抜くなよ...」


 さらに何人も倒していく。フィフォンは未だ若干殺しに躊躇いがある様だが、それもすぐに慣れるだろう。問題はベリィだ。


「さっきは門の人倒したけど、やっぱ怖い...あたしには殺せないかも...」


「ベリィ!何をやってるの!動かないとやられちゃうよ!」


 ベリィは恐怖と混乱で体が動かなくなっている。彼女が動かなければ、戦力が減ってしまう上に、敵にとっても動かない的、という事になるので、真っ先に狙われてしまうだろう。それはボクも嫌だ。


「ベリィ、ここで死んじゃダメだよ。生き残るためには、戦わなきゃ。」


「で、でも...。」


「躊躇してる暇はないんだよ!」


 その話をしていた時、ボクとベリィの間を弾丸が通り抜けた。


「...分かったよ。あたしも殺る。」


「お互い、頑張ろうね。」


 これでベリィも戦いに参加してくれるだろう。良し、このまま戦局を変える!


「良し、そのままやろう!」


 元々そこで交戦していたゲルンの兵士達も数が減っていき、現在は10vs5だ。

 けっこう、頑張ったはずなんだけど...。

 仕方が無いので、ある作戦を実行する事にした。


「ボクが殺るよ。待ってて。」


「え?1人で?」


「そうだけど。」


「む、無理でしょ⁉︎いくらなんでも...」


「大丈夫。信じて欲しいな。」


 そう告げて、相手に突っ込む。

 ベリィとフィフォンは未だ不安そうだ。

 近距離での銃による戦闘は不利と見て、ボクは懐から拳銃を取り出す。さらに15cmほどのナイフを取り出し、一突きで2人ずつ殺る。

 兵士達は悲鳴を上げる暇もなく瞬殺されていく。鮮血を浴び、血生臭い匂いがする。


......ああ、良い。気持ちが良い。やっぱりボクはこれが...。


 またか、まずいな。最近ちょっと多いぞ。

最近っていうか、今日だった。

 殺しをするからこうなってしまう。かと言って、これは兵士の任務だ。


 ーだからお前はいつまで経ってもそんなんなんだー


 昔の言葉が甦る。図星だ。こんな時に...。

 誰の言葉だったかな...。

 それに、過去の事は忘れておいたはず...。


 気づけば全員を倒していた。本当に呆気ないな。


「良し、これで終わったね。」


「流石エリセスさん。やっぱ違うよね〜。」


「凄いな、エリセス。10人相手にするなんて...。」


 ベリィとフィフォンは呆気に取られている。

 すると、残っていたうちゲルンの兵士が近寄ってきた。


「助かった!本当に感謝する。」


「君たちの所属はどこだい?お礼がしたい。」


「えーっと、所属は...今はなくて...。」


「?...ああ、そういう事か。申し訳無い。不遜な事を聞いてしまった。」


「いえ、大丈夫です。ボク達は新兵なので。」


「新兵⁉︎今年の新兵がなんでこんな所に⁉︎」


「それはまあ、色々あって...」


「じゃあ、今ここでしよう。これを渡して置く。」


 そう言って手渡されたのは、金だった。

 目分量の見積もりで300€と言った所か...?


「今持ってる金の全てだ!これから先、有効に使ってくれ。」


「こんな大金、受け取れませ「そんな事言わずにさ。ほら。」え〜...。」


 強引に手渡して来たので、一応貰っておく。戦場に金持ってくるってどういう事⁉︎


 そんな事をしていると、人の声が聞こえて来た。


『おい、そろそろじゃねぇか?』


『馬鹿、まだちょっとしか経って無いんだぞ。』


『もう死人沢山の所とか有るかもよ?』


 会話の内容から察するに、山賊の様だ。恐らく、死体から銃や売れそうな物を剥ぎ取って盗んでいくのだろう。


「お、壊滅部隊はっけーん!」


「マジか!運良いな。俺たち。」


「気を付けろよ。まだ居るかも知れないぞ。」


 ボク達は咄嗟に隠れ、様子を伺った。

 風貌からしても、やはり盗賊か山賊だろう。


 出てきたのは、黒い服の男と、紫の服の女、そして、見覚えのある顔に赤い服を着た男が立っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 次回多めに書くんでこの文字数で許してください。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る