アリスと星の鍵
『そうですね。あれはあなただもの....。』
「どういう事ですか?」
『こっちに来る時、鏡をつかったんじゃないですか?上手くいったとおもってたらしいけど、全く上手くいっていなかったんだと思いますよ。鏡を使うと、半分が向こうに置き去りってことはよくあるこですから。それを今回は鏡の国の連中に利用された。それだけの話です。』
「はぁ.......」
『それに、私達が無理やり鍵を取り返そうとして傷つけてしまったら....あなたにもダメージがありますから.....。』
自分のことは自分が一番分かっているということだろうか、私が鍵を取り返そうとしたとしてもう一人の私を傷つけないという確証もないけれど。
『あの時、ボクがちゃんと玄関の扉でやってればよかったんだ.....。』
「鍵を取り返したら、あの子は......、私の半分は.....ちゃんと戻って来るんですよね?」
落ち込んでいる白うさぎを無視して、私は質問を続ける。
『姿を見られれば、鏡の自分は消ます。同じ時間に同じ人は存在できないですから。大丈夫です、下手に刺激しなければ何も悪さはしません。』
私は、鏡の自分に気づかれないようにそっと近づいていった。
『......?』
私の気配に気づいたのか、鏡の自分は不思議な顔をして辺りを見回している。
「ごめんね......えいっ!」
私は勢いよくもう一人の自分の前に飛び出した。
『.........!』
もう一人の自分と目が合った....と思った瞬間、もう一人の自分は眩しい光に包まれて.......消えた。
もう一人の自分が消えた場所には、一本の鍵が落ちていた。
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