ハッピーエンドの鍵を握る少女

『確かに、そうね.......。』

 白うさぎの話を真剣に聞いていた女王様が、ゆっくりこう言った。


「あの、何か困り事ですか?」

 何となく、そんな気がしから.....私は難しい顔をしている女王様に声をかけた。

 私にできることがあれば、何かしてみたいと思ったから。誰かの役に立つなら、どんな不思議な出来事だって受け入れられる。

 周りから見れば、少し

 変わり者かもしれないけれど。


『ええ、少し困った事が起こってしまってね......。ねぇアリス、少し捜し物を手伝った貰えないかしら。』


『わかりました、私で良ければ.....喜んで。ですが女王様.......私は、何も覚えていません。』

 私は、この世界のことを何も覚えていないことを女王様に伝えた。すると女王様は、こんな話を始めた。

 ✱✱✱


『この国は今、四つのトビラで閉じられているの。その四つのトビラで閉じられた場所を繋ぐには、【星の鍵】が必要なの。でも.....。』


 そこまで言うと、女王様の表情が少し曇った。


『でも、どのトビラでもない場所の誰かがその鍵をどこかに隠してしまったの。あの鍵が無ければ、他の四つのトビラは繋がらないの。』


「その鍵を私が、見つければいいんですか?」

 気づいたら私はそう言っていた。こうしなかったら、この不思議な出来事はずっと終わらない気がしたから。


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