ハートのトビラ、帽子屋とドレス。
『大丈夫?もう着いたから目開けてもいいよ。』
その声で、私はゆっくりと目を開ける。さっきまで自分の部屋にいたはずなのに.....目を開けるとそこは知らない場所だった。
『ようこそ、トビラの国へ。』
「トビラの、国?」
初めて聞く名前だった。【不思議の国】なら絵本で読んだことがあったけれど。
『いや〜上手くいってよかった〜....さぁ、まずはその格好をなんとかしなくちゃね〜.....。.』
そう言って、白うさぎは少し先に見える小さな小屋へ向かっていった。
『おーい帽子屋〜、いるの〜?いないの〜?』
白うさぎは小屋の戸を開けて誰かを呼んでいる。
白うさぎが小屋の中に向かって何度か声をかけると中から眠そうな声が聞こえた。
『んも〜....朝早くから何〜?眠いんだけど〜...って、うさちゃんじゃないの。』
『うさちゃんじゃないよ.......ボク男なのに.....。』
『冗談だよ。さて、今日は何のご用?』
『衣装を仕立てて欲しいんだ。ほら、今日はパーティーがあるでしょ?』
二人の話に全くついていけない。さっきからパーティーとかなんとか.......それに、衣装ってなんの事だろう。
『わかったよ。任せといて!』
「あの、さっきからなんの話しをしているんですか??」
私が質問すると、白うさぎがこう答えた。
『今から、パーティーなんだ。ハートの女王もいらっしゃるんだから.....そんな格好じゃ、恥ずかしいでしょ?』
確かに、私の格好は.......普段着だけれど、そもそも私がパーティーに呼ばれた理由は何なのだろうか。パーティーなんかよりも早く元いた場所に戻りたい。
『さぁ、完成だよ!』
『速いね、さすがだよ。』
『ドレスを着るのは貴方でいいんだよね。お嬢さん』
『あ、はい.......、そうみたいです。』
なんで、こんなことになってしまったんだろうドレスなんて着たこともないのに.......。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます