トビラのくにのアリス

七瀬モカᕱ⑅ᕱ

トビラをあける。

 おでこの辺りにふわふわした感触がして、目が覚める。ふわふわしたものは、もぞもぞと動いて形を変える。


「ん.....?」

 ふわふわしたものの正体は、白い色をしたうさぎだった。うさぎは、私と目が合うとにこりと微笑んで『やぁ、おはようアリス。』と言った。『うさぎが、喋った?』

 私が、ぽつりと呟くと急にうさぎは大声で笑いだした。


『あははっ!キミ本当に覚えてないんだね.......ボクに会うのこれで四回目なのに.......じゃあ説明も一からかぁ......面倒だけど仕方ないよねぇ.....。』


「あの、どういうことですか?」

 このうさぎが何を言っているのか、わけがわからない。四回目というのは、どういうことなのか。それから、【アリス】というのは.....。


『ちんぷんかんぷんって顔してる、そりゃそうか 。記憶が消えちゃってるんだし。』

 記憶が消えている......ますます意味が分からない。私は夢でも見ていてるんだろうか。


『あぁ〜めんどくさい!説明するより実際行く方が絶対早いよこれ!本当は説明してからって決まりだけど、もう開けちゃおうか......トビラ。』

 そう言うと白うさぎは、私の部屋にある姿見のところまでぴょんぴょんと跳ねていった。


「何が始まるんです?」

 私がそう尋ねると、『まぁ見てなよ』とイタズラっぽく笑って自分の首にかかっているペンダントを外して欲しいといった。


『さぁ〜て、上手く開いてよ〜?』

 白うさぎは、ペンダントを引きずりながら鏡の前まで行くと......意味のわからない呪文のようなことを唱え始める。

 その瞬間、部屋は真っ暗なはずなのに.....私と白うさぎのいる場所だけが眩しいくらいに光った。

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