@furukawa-

第1話 シンガポールに行き着くまで

「橋本さん、今月末にシンガポール行くらしいよ。ネイル事業開くんだって」

まじか、俺結構まじで好きだったのに。

「高井、追いかけちゃえよ」

天使なのか悪魔なのか、そんなことを囁くのは同期の桐谷。

「んで、今運転手雇いたいって探してるぞ」

どっかで天使と悪魔は同じ生き物だって言ってたな。

俺にとって桐谷は、多分そういう生き物。

「よし、俺シンガポール行くわ」

「行ってこい! 」

聞こえたような気がする。

父の声。

父は素晴らしい実業家だった、らしい。

5歳の頃には亡くなっていて、そんなに凄い人なのかわからない。

ただ、父が死ぬ前、

「人生はたった1回。愛に生きる男になれ! 」

そう言ったことだけは覚えている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

@furukawa-

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る