第2話

僕はレシアに手を引かれながら街の中心部に来ていた。


ここはよく二人で買い物や外食に来るところであった。


いつも入っている食事処や洋服屋を素通りするレシア。



「ねえレシア、どこに行くの?」



「週末にさ、いつものパーティーがあってね。今回こそシェアンを呼んできてってお父さんに言われちゃったの」



「で、どこに行くのさ」



「私がよく使っているドレスとか,パーティー用の服が売っているお店よ」



としゃべっている間に目的の店の前につく。外観は白を基調とし入り口が紺色の上品


だが目立たない色になっている店だった。


知る人ぞ知るお店。よくここらへんを一人探索しているシェアンですら知らなかった


お店であった。



「なあ、レシア。どうやってこのお店を知ったんだい?」



「ん、これ見て」



何故か少し不機嫌なレシア。


彼女の手には父よりと書いてある一通の手紙がある。


なるほど。レシア自身でで僕が着るものを選びたかったのだが父親の厚意によって泣


く泣くふいになってしまったのが少し悔しいのであろう。


本当に可愛らしい婚約者である。



「お待ちしておりました」



入った途端なにか甘い匂いがただよってくる。



「こんにちは、レシア・シェリエールです。父が頼んでいたものを受け取りに来ました」



「はい、ではこちらにいらしてください」



そういえばそうだった。実はこの婚約者貴族なのだ。

位は男爵であったはずである。


僕の家は昔は子爵であったらしいのだが


あいにく僕が3歳ぐらいのときに何者かに殺されてしまったことで取り潰しになって

しまったのだ。



「ねぇ、シェアン これどう思う?」



彼女が持ってきたものはほぼ純白に近い色合いのドレスである。



「まだ着てはいないからあれだけど絶対に似合うと思うよ。 

 早く着ているところをみたいな」



なにかおかしいことを言ったのだろうかレシアは軽く悶ている。


何やらぶつぶつと言っているようだが距離が遠くて聞こえない。


店員が僕のことを呼んでいるので行くことにした。



「シェリエール男爵様からあなたに1着、スーツが届いています。受け取っていただけませんか」



「了解しました。どこにあるのでしょうか」



定員に連れられて行った先には何故か純白のスーツがおいてあった。明らかになにか

がおかしい気がするが、レシアの両親は白が好きなのかと勝手に納得しておく。



「レシア 受け取ったものをもってきたぞ」



レシアの顔がシェアンの持ってきたものを見た途端赤くなった。



「ねえ、シェアン 私が今から何問か問題を出すから答えてね。

 はい1問目私達の年齢は。」



「突然何を言い出すんだ。16歳だよ」



「2問目 結婚式に着るものは?」



「ん、新郎新婦ともに白い服って っーーーそういうことか」



「そういうこと」



この国の人は大体14から17歳の間に結婚式を挙げる事が多い。つまるところ僕らは


シェアンの親からウェディングドレスを送られたと言うことである。


二人とも顔が真っ赤になってしまった。いつも一緒にいる。そういう話にはなれていないのである。



「一旦帰ろっか」



ほけーとした様子のレシアを連れて家に帰る。様子を見るに僕がスーツを取ってきている間に店員にいじられたのだろう。



「明日からは結構下層に遠征でダンジョンに潜る予定だよ」



「むぅぅ わかってるわよ。もう少しあそびたかったなぁ。



 帰ったら遠征用の準備をしましょ」



明日から1週間かけて


僕らは自分たちが今までいったことのない60層にチャレンジをする。


一番の問題であった荷物の運ぶ方法が僕の風属性魔法が分岐している空間魔法でカバ

ーできるようになったことも挑戦するきっかけの一つだが、僕らよりも強い人たちに

追いつきたい


追い越したいという欲望や、まだ見たことのないものを見てみたいという好奇心が一番の要因であろう。


しかし 楽しく楽なものばかりではない。


50層よりも下の層には各層にフロアボスがいるので連戦ができるようにならなけれ

ば行けない。

その実力が備わったと先輩冒険者に言われたので挑戦してみるつもりである。


隣で寝ているレシアに声をかける。



「レシア、明日から頑張ろうね」



「うん、まだ見たことのないものを見に行こう」





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帰り道から家での出来事は後日閑話としてあげる予定です。


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