第4話そいつは金太郎

そいつは金太郎

新学期はみんな、転入生が入ってくることを期待している。罰ゲームのようなあの場面が嫌いだ。映画やドラマで観るのも嫌いだ。

そいつは金太郎。ある日目の前に現れた。金太郎と呼ばれているそいつはいつもにこにこしている。猫みたいな声でしゃべる。浮足立ってふわふわと歩く。何を言われてもいつもにこにこしている。金太郎は一体、何の仲間だろうかと考えていた。いつの間にか。

いつになってもわからないまま、自画像とおしゃべりクラブに苦しめられていた。私も何の仲間でもないようだ。金太郎は正反対だ。だってにこにこしているから。苦しい時はにこにこしないはずだから。

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