ドキドキお泊まり編 前編 ※
――前回のあらすじ! 大雨に見舞われてしまい、帰れなくなってしまった俺は玲愛の家に泊まる事になった。
夕飯後、俺達は再びスゥイッチでゲームをすることにした。今度はにゃんにゃんメーカーではなく、にゃんにゃんカートと言うレーシングゲームをプレイしている。
まあ、簡単に説明するとアイテムを使って妨害可能なレーシングゲームである。
俺はふとにゃんと言うキャラを使用している。このキャラは体が重くスピードが劣るという性能の車を持つ。玲愛は赤にゃんにゃんと言うキャラを使用している。このキャラはスピードと重量のバランスが良い性能の車を持つ。
まあ、簡単に説明したところで俺達は早速レースをプレイし、最終ラップのゴール直前に突入した。
「おっしゃぁぁッ! 赤甲羅ぶちのめてやったぜぇ!!」
玲愛は発狂しながら一位の俺を妨害していた。そして玲愛が形勢逆転して一位になった。
「あっ……玲愛ッ! 卑怯な手使いやがってッ!!」
「へへん! さっきのにゃんにゃんメーカーのお返しだぁ~~!」
玲愛は、ムフフぅ~~とおじさん臭い口調で微笑む。
「んにゃろッ! それじゃ……俺からもお礼をたっぷりしてやるぜぇぇっ!」
玲愛の口調にムカついた俺はサンダーのアイテムを使った。ばちぃぃっ……と光り、玲愛のキャラ(赤にゃんにゃん)が小さくなった。そして玲愛のキャラのカートをぶつけてスリップさせる。
「うぎゃぁぁッ!! 縮んだぁぁぁッ!? それと海水くんのふとにゃんにぶつかってスリップしたぁぁぁぁ!!」
「よっしゃッ! 一位は貰ったぜぇぇぇ!」
そう叫んだ後、俺は一位抜けでゴールした。
「よっしゃぁぁ!! 最初は俺の勝ちだぁぁぁ!!」
コントローラーを床に投げ捨て、自分でも気味悪いと思う喜びの舞を踊り始めた。
「うギャァァァァァぁぁぁぁッ!? 最後の最後でかみなりはひどいよぉぉぉぉッ!!」
「ひっひひ! 切り札って言うのは最後まで取っておくもんだぜぇぇ~~!」
「ムキィィッ!! 海水くん、もう一回だッ! 今度こそ絶対に勝って見せる!」
「ふふふっ……今度こそ俺様に勝てるかな?」
なんて挑発的なセリフを言う。まあ、どうせホラ吹きだな……。家庭用ゲームが苦手な事はもう分かっているんだよ!
「――ねえ、海水くん。次のコースは罰ゲーム付きの勝負しない?」
玲愛がそう提案してきた。
「さっきから負けっぱなしの玲愛が勝負を仕掛けるなんてなぁ~~?」
「こ、これはデモンストレーションだし! つ、次は絶対に勝ってみせるし!」
「へへぇ……そのほら吹きがいつまで続くかな?」
「ほ、ほら吹きじゃないし! いい? 次は絶対、絶対に勝つから!」
玲愛はビシッと俺に向けて人差し指を突き立て、絶対勝利を宣言した。
にゃんにゃんメーカーの時は、初心者の玲愛に不利になると思って罰ゲームを付けなかった。様子見て玲愛もゲーム操作に慣れてきたことだし……。そろそろ罰ゲーム付き勝負をしようじゃないか!
「まあ、いいだろう。その話、乗った」
こくりと頷き、キャラ選択画面に戻った。そして俺と彼女はキャラを変更せず、コース選択画面に移動する。
(どうしようかなぁ……? なるべく玲愛に不利なコースを選んでおかなきゃ! 負けるのだけは絶対嫌だぞ!)
なんて俺に有利になるようなコースを悶々と探す。俺には出来て玲愛には不利なコースは――
「それじゃ、レインボーロードを選択――!」
レインボーロード……文字通り虹の道である。簡単にコースの中身を説明すると、舞台は天空である。この道はガードレールが無く、落ちたら審判に拾われるまで時間が掛かる。そして流れ星に当たるとスリップしてしまうという障害の多いコースだ。ちょっと上級者向けのコースで、玲愛に勝つ!
コースの選択を終えてロード画面に入り、いよいよレースが始まろうとしていた。
ブルンブルン……とエンジンを吹かす。そしてスタートのカウントダウンが始まる。
三、二、一――レース、スタート!
先頭に立ったのは俺のふとにゃんのカートだった。玲愛のカートをバックミラーから見えなくなるまで全速力で突っ走るぜ!
短いストレートを抜けてすぐに急カーブに差しかかかる。コントローラーのスティックとボタンを押してドリフトを決める!
「よし!」とガッツポーズする。初見殺しのカーブは余裕で突破だ!
(さて……玲愛はどうかなぁ……?)
ちらっと玲愛の方を見ると、丁度カーブでドリフトを決めているところだった。そして初見殺しのカーブを曲がり切れず、そのままコースアウト――転落してしまった。
「ファイっ!? 壁無いのッ!?」
「あ、言い忘れたけど、レインボーロードは見えない壁なんてねーからな。しかも落下しちゃえば時間ロスするからな! にっししっ!」
俺はクスクスと微笑みながら玲愛に説明すると、彼女はむくぅ……と頬を膨らませて睨んでいた。
「――絶対に負けない……。私は、こんな弱者いじめに負けないわぁぁぁぁぁ!!」
そう叫んだ後、赤にゃんにゃんはコースに戻り俺を追いかけ始めた。
(やべぇ……玲愛の目がマジだ……! と、とにかくこのまま追い抜かれないようにしなきゃ!)
焦りを覚えつつ、俺はコントローラーを流暢に操作して玲愛の距離を遠ざける。そして急カーブに入り、ききぃ……とドリフトを決める――そう思っていた。
「ぐっ……やべっ、落ちたッ!? やべやべ……」
カーブで車体が膨らんでまさかのコースアウトし、そのまま転落してしまった。
(ヤバい……拾われる時間が長いから、早くしないと玲愛に追い付かれてしまう!)
亀に拾われた後、再スタートする。それと同時に玲愛のカートが俺の後ろまで追い付いてきた。
「うげっ……もう追いついてきた!? マズイマズイ、急げ急げ……!」
俺はブツブツと焦りながら、コントローラーを操作する。だが、それのせいでプレイのミスが出始めて始めてきた。
簡単に避けれるはずの流れ星に当たったり、ドリフト失敗してコースアウトしたり……。そんな感じのミスが続く。
「うギャァァァァァッ!! ど、ドッ〇ンに踏み潰されたァァぁぁッ!! ペッちゃんこになって進まねぇぇぇぇ!!」
「ヘイヘイ~~! お先に失礼!」
なんて障害物に阻まれている間に、玲愛のカートが俺のカートを追い抜いた。
「うギャァァァァァ! 抜かれたァァぁ!! ちくしょったれぇぇぇぇ!!」
抜かれた……抜かれてしまった! クソっ……挽回しなきゃ! 玲愛に負けてたまるものか! 絶対に罰ゲームを受けるのは嫌だ!
「へへっ! 海水くん! これでおさらばだよ!」
なんて怪盗の決め台詞のような事を言った後、アイテムのキノコブーストを使ってジャンプ台を飛んだ。
「あッ、てめぇぇ! ジャンプ台とキノコ使ってコースをショートカットしやがったなッ!?」
「むふっふふふぅ~~ショートカットしちゃダメって言っていないよぉぉ~~? だからやったのよぉぉ~~!!」
なんて玲愛は、お嬢様口調みたいに挑発してきた。そんな事を言われて、俺の堪忍の緒がプッチンとキレた。クソアマ……初心者のクセによく生意気な口を言えるようになったなぁ……。
「んにゃろッ! 玲愛ぁぁ……ぜってーに抜かしてやるからな!」
「出来るものならやってみなぁぁ~~ふっふぅ~~!」
「クソったれ……絶対やってやらぁぁぁぁ!!」
そう叫んで、必死に玲愛の後を追いかける。ゴールゲートを通ると最終ラップに突入した。絶対に玲愛を抜いて一位をぶんどって見せる!!
▼
――数分後。ゴール直前、俺と玲愛はカートをぶつけ合いながら走っていった。
「そこぉぉッ!? どけぇぇッ!!」
「海水くん、無駄無駄無駄無駄ッ! ぜってーにどかさないッ!」
がこんがこん……火花が散るほどのぶつけ合い。そしてゴールに突入―――果たして結果は……?
『勝者――赤にゃんにゃん!!』と言う画面表示が出た。
「うっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
玲愛は俺に勝った事に大声でガッツポーズを決めた。めっちゃ嬉しそうな表情だった。
「かあああああああああっ! 負けたぁぁぁぁッ!!」
俺はコントローラーを置き、深―い溜息を溢して寝そべった。くっそぉ……お、俺が負けるなんて……クソったれ!!
「そーゆ訳なので海水くん! 罰ゲームを受けてもらいます!!」
「うわぁぁぁぁぁぁッ!! そ、そうじゃぁぁぁん!! チックショォォォォォ!!」
ガーン……とショックを受ける。そうじゃないか……負けた人が罰ゲームを受ける事になっているんだっけェ……!
「おーほほほほほ! 負け犬の遠吠えが聞こえますわねぇ~~」
玲愛はドSなお嬢様キャラな口調で、クソを見るような蔑んだ目で見つめていた。
「グッ……玲愛、罰ゲームの内容は?」
ムカつく感情を抑えて唇をギリっと噛み締めながら、罰ゲームの内容を聞き出す。
「――決めた。罰ゲーム決めたわ! むっふっふぅ~~覚悟してねぇ、海水くぅぅん~~?」
「うん、内容は何?」
そう質問すると、彼女は不気味な雰囲気を醸しながら微笑んでいた。
「先に言っちゃうとなんか面白くないんだよねぇ……その罰ゲーム」
「えっ……ちょ、玲愛……? なに……そんな不気味な表情をして……」
鋭いゾンビの牙をむき出しながら、じりじりと俺に近づく。こ、怖い……ば、罰ゲームって何なの?
「お、お前、ま、まさかぁ……か、噛みつくんじゃないだろうな!? や、やめろよ……俺は喋っていないぞ!」
ゾンビ映画であるじゃん……襲われる直前の登場人物の感情――恐怖。それに襲われている!
「海水くんの罰ゲーム――――始めよう?」
そう言ってゆらり……と玲愛は俺に向かって飛び掛かってきた。
「ちょ……玲愛――――う、うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
悲鳴と同時にばっしゃぁぁぁん……と雷が響き渡ったのであった――
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