結婚する話その二
衝撃の「ほな籍入れよか」発言から数日。
その間もそこそこ連絡は取り合っていましたし、他愛ない話も多数。しかし彼からは先日の発言に関する発言はゼロ。
脱線するのですが、ここに介護職経験者はおられますでしょうか。お訊ねしてみたいんですが、夜勤中って、時偶妙なテンションになってしまうことってありませんか?介護士でなくとも、例えば学生のときによくやった、試験前の徹夜とか、そういう場面でも良いと思います。夜、静かな空間の中、目的があって起きているのは自分一人。そういうとき、どうも精神的に不安定になりがちでした。当時の私の場合、一人夜勤だったので余計にかもしれませんが、何故か落ち込んでしまったり、逆にテンションハイになってしまったりということがよく起こりました。
ある夜勤の日のことです。早番遅番の出勤者も皆帰宅し、深夜、仕事をしながら例の発言について考えていたとき、ふと急に、私の中で何かがプチッと弾けました。嫌な弾け方ではなく、イクラとかトビコが口の中で弾けるような。
普段はこんなことしないのですが、ご入居者様の朝食の用意をしながら、彼に電話をかけました。
「もしもし〜?急にごめんな、この間籍入れよかって言ってたやん?」
「あ、うん」
「……よし!結婚しよか!」
「うわぁあああはいぃいいい」
こういうのって、「結婚しよう」の一言が無いといまいち決め手に欠けると思うのは私だけでしょうか。いつまでたっても出てこなかったので自分で出しました。
やや控えめに叫ばれながらイェスの返事を貰った私は、
「おっし。じゃあスッキリしたから夜勤戻るわ、おやすみー」
と電話を切り、仕事に戻りました。
恐らく0時頃。その後サクサク巡回したのを覚えています。
どういうわけかはさっぱりでしたが、別れ話されるかと思ったらされずに済んだし、むしろ結婚にまでことが運ばれてました。ワンダフォーです。夜勤の重い足取りも軽くなり、スッキリとした気持ちで仕事に取り掛かることができました。あんなに集中できた夜勤は恐らくあの1回きりです。
後日、「俺が言いたかった……」とぼそっと言われました。
いや遅いねん。
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