結婚する話その一
さて、一話目で少し記載したように、私は当時、子どもがほしいと考えていました。結婚するなら、妹の自閉症にも理解があり、将来的には面倒を見ていかなければならないことも理解してくれる人。
とかまあ考えてはいましたが、社会に出て割とすぐに思いました。どうでもいいから彼が欲しいなと。
というか、私子どもがほしいとか思っていましたが、自分の遺伝子残していいのかとも考えていたんですよね。矛盾なのでは、という話なのですが。
実際のところどうなのか、今の考え方はどうなのか分かりませんが、自閉症は遺伝が関係している、という説を聞いたことがあります。実際、私の親戚には先天的な自閉症、後天的な自閉症、身体にハンディキャップのある人が多いような気がします。体感ですが。本当に遺伝も関係あるのだとしたら、私の子も自閉症や何かしらのハンディを抱える可能性があるのか。そう考えると、果たして本当に産んでいいのか。私は良くても、私の夫となる人はどうなのか。
お気付きでしょうが、初っ端が過去形です。
結局、話し合うこと前提だけれど、話し合ってそれはちょっとと言われたらもう子どもは作らなくても良い、そうなっても彼が欲しい、そう思うくらいになってました。
まあ、結局話し合うまでには至りませんでした。
軽く、こんなふうに思ってて〜、と話したら、
「ええんちゃう?」
と言われたからです。
そっか〜〜!!です。終了です。
そんな軽く……と思われるかもしれませんが、私にとってこの適当な返事に見える「ええんちゃう?」は重く、でも嬉しいものでした。
結局はどんな返事をされても子どもはほしいと思っていたと思います。私は服屋さんで「これとこれどっちが似合うと思う?」に対して「どっちでもええんちゃう?」と言われたら、じゃあこっち〜〜!!と内心決めてた方を選ぶタイプです。適当な「ええんちゃう?」を、脳内で最後のひと押しに変換してしまう、男性にとっては恐らく有り難いであろう単純女です。
ここまでいろいろ、彼への、そしてまだ見ぬ子への思いを書きましたが、ひと悶着ありました。
社会人一年目、私としては結婚はまだ早いと考えていました。が、叶うことなら結婚の約束はほしかったのです。
だって怖くないですか?この先更に二年、三年と付き合ったものの破局。年齢は増し、仕事への責任も増し、もしかしたら残業も増し、そんな中でプライベートで結婚相手なんて探せるか?と考える。多分無理。また、その付き合った二年、三年の交際費いくらになるか考える。考えたくない。
こいつと生涯一緒になれる、口約束でいいから決め手となる何かがほしかったんです。
単純な私はそのまま彼に伝えました。
「もし、今遊びとか、告られたから何となく、で付き合ってるなら、結婚を前提としたお付き合いをしませんか」
ここに男性読者はおられますでしょうか。いるならアンケートとか取ってみたいんですけど、これ、ドン引き案件じゃないですか?今の私ならドン引きです。
実際のところ、彼がドン引きしたかは謎ですが、このとき私は、当然良いお返事を貰えませんでした。
自分のことながら、書いてて頭が痛い。
良いお返事が貰えなかった当時の私は思いました。
「ああ、近々フラれるかもな」
そこから数ヶ月経った私は思いました。
「保った方や、そろそろかもな」
そこから少し経って、社会人二年目の十月、遊びに行った帰りの電車で言われました。
「転職しようと思って」
「おー。がんばー」
「寮出なあかんねん」
「せやろな」
「一緒に住まへん?」
「あー?結婚するわけでもない人と一緒に住まれへんよ。親も厳しいしな、籍も入れてへんのにーって言いそう」
「なら籍入れよか」
「ほいほーい。あ、電車ついたわ、またなー」
閉まる扉。発車する電車。あと残り何回なんだろうなと思っていたその日のデートは終了。
いや、なんて?
適当に返事する事はお互いにそれまでたくさんあったと思う。でも今のは適当に返事して良いところではなかった。きっと赤穂から何故か一緒に乗っていた青いメタリックな蜻蛉もツッコミを入れたかったに違いない。というか、別れ話どこいった?
混乱のJR某駅でした。
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