第47話 ヒトとは違う者
「それで結果はどうだった?」
森の中三人の怪物が集う。
島の調査を行ったオースト。参加者のレベルを調べに行った禍殲樋。
「マスターは何をしていたんだ?」
禍殲樋にそう聞かれ答えを探す。
「・・・・・・」
何もしていなかった。
語弊。何もしていなかったと言うと、そうではなく、参加者の情報を禍殲樋より広く深く調べていた。がこの二人がした事よりも結果が出なかった、のである。
これでは主人失格ではなか。
そんなこんなで自分の不甲斐なさに気付いた所で情報交換を提示した。
島は2.5キロの小さな島であることがわかった。島の周りは激しい海流で、泳いでの脱出は困難だそうだ。参加者のレベルは、ほとんでがプロのスポーツ選手並み、俺たちは苦戦しないレベル、数人人外が交じっていたそうだが、問題にはならなそうだ。
おれが得た情報は、参加人数210人の参加者と分布地域だけだ。
情報を提示終わると、後ろの方からガサゴソと草の擦れる音が聞こえてきた。
俺たち全員はそちらに少し体を傾けるだけに留まった。相手の存在が圧倒的に格下だと知っているから。
「動くな!動くと撃つぞ!」
出てきたのは三人のグール。一見並人間に見えるが、吸血鬼のおれから見れば下位属の判断くらいはつく。
彼らがグールである事よりも彼らが持つ武器に目を向けた。
彼らがその手に持っていたのは、銃であった。見た目から判断するにマスケット銃と思われる。なぜ軍が所有しているはずのマスケット銃をこの者達が持っていることに些か疑問が残る。
「グールがそんな銃を使うくらいなら素手で戦う方がいいはずだが」
「なんだと貴様‼︎」
トリガーに指をかける、銃口に殺意が乗る。
「化物は化け物らしく戦え」
バンバンバン
三発の銃声が鳴り響いた。
打たれた体は穴が開き向こう側が見える。
「ハハハ、死んだぞ。やはり人間脆いな‼︎」
しかし死体は倒れない。
「思ったより良い銃じゃないか、グールに持たせておくには勿体無い」
喋りだす、致命傷以上の傷を負っているのにも関わらず。
「どうして⁉︎まさか貴様、吸血鬼か」
必死に身構えながら、こちらに問う姿は、人間らしからぬ、この化け物を人間味溢れる行動にさせている。
それはきっと本能がそうさせているためであろう、元は同じ人間だからこそ、本質的な部分は変わる事はないのだろう。
「グール、身体能力は吸血鬼に遠く及ぶ事は聞くまでもなく、及ばない。しかしそれでも、人間を軽く凌駕するほどである、だったかな」
「ッ・・・!」
「ヒロト様、殺しても構いませんか?」
オーストを見ると、剣に手をかけ臨戦態勢だ。周囲からは冷気が溢れ落ち草を凍らし、土までも凍土へと変貌していた、超自然的に。冷凍庫とか南極とか、そう言う極端に寒い場所に一瞬にしてなった、と言うよえりかは、なってしまったといった方が適切であろう。何せ草だって、寒いところに生えたくて生えているのではないのだから、外的要因でなってしまった。それほどまでに怪異的な出来事であった。
「その必要はない」
「・・・?」
グールが疑問を浮かべる。
「我々は我々の敵は撲滅する、それが誰であろうと、それがたとえなんであろうと」
そうやって俺は進んできた、それが最初に受けた天啓であるから。ずっとこのまま変わる事はない、今までの様に。
「ウガアァァァッ」
突如炎に包まれる三体のグール、いくら悶えようともいくら水をかけようとも、消える事はない。それは人類浄化の聖なる炎なのだから。
燃え尽きて、灰と身につけていたものだけが、その場に残った。
銃については、詳しく調べてみる必要があるかもしれない。
この時代の銃で体に大きな穴ができるのは、ありえない。勿論火薬の量を増やせば、初速は速くなるが下手をすると、銃身が爆発するだろう。それの弾は丸い初期のものだ。何か魔術的な力が働いている事は明白だ。
そういうことで俺は、宝物庫内に銃を入れた。
「それでは殲滅を開始しよう」
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