第8話 地下帝国

「ここは、どこだ?」


 俺たちを待ち受けていたのは360°木に囲まれた場所だった。

 辺りは薄暗く木々の隙間から辛うじて夕日も沈み欠けているとゆうのが分かる、森と言うこともあるのか地面には苔が生えジメジメしている。くるぶしほどにまで伸びだ雑草は適度に水滴を保ち、つい先ほどまで雨が降っていたかのようだ。林冠に近いところの葉は表面に水滴がないことから雨が降っていないことがわかる。

 と言っても、足踏み知ればグチャグチャと音が鳴り、お世辞にも過ごしやすいところではない。

 ヒロトは空間にあいた穴から出てくると、凪とアテナも後から出てくる。


「お兄ちゃん、ここ何処なの?」


 凪がそう聞いてきたがヒロト自身も何処か分からないので首を振りアテナに聞く


「アテナここが何処か分かるか?」


 アテナは周りを見渡した、すると少し残念そうに首を横に振ってヒロトに言った。


「すみません、ここが何処かまでは分かりません」


 そう言われるとヒロトは、少し悩み考える。しかしもう答えは出ていた地理的有利が取れるかわからないがここにするか。


「よし!ここに拠点を建てる」


 ヒロトがそう言うと凪とアテナは驚いた様で目を見開いて言った。

 ウジウジしても、始まらない現在地が分からない今は、動かない方がいいだろう。さっきの大男みたいなのが来ても今は疲労で戦う気がゼロだ。それにこの森には何かいる、ここに居座るのも危険だが迂闊に動く方が却って危険だ。

 だったらここに拠点を建てたるのが良作になるだろう、魔術師 魔法使いが拠点を作らないのは愚策だ、それに今は拠点を作るのに最適な力が戻ったのだ、それを使わない手はない。


「お兄ちゃん それ本当!」

「ヒロト様 それでいいのですか」


 勿論ここから街を探すのも良いがクラスの皆といるとヒロトの目的上、しなくてはならない事が出来なくなることの方がが多いい。だがここは森に囲まれているおかげで他の人間から見付かり難いので好都合だ、この世界の魔法がどれほどの物かは分からない為賭けになってしまうが、やらなくて後悔するより、やって後悔する方がましだ。

 何方にしろ、今後の事も考えても拠点はあった方がいい。


「ああ これからここに拠点を作るから、何か来ないか警戒を頼む」


 確かにもしも製作中にモンスターに襲われたらどうなる事か、そう言うこともあり凪とアテナに周りを警戒させているのだ。


「お兄ちゃん 頑張ってね」


 凪が応援したら何故かアテナが出遅れたと、言う様な顔をして、ヒロトにアテナも応援をした。


「ヒロト様 頑張ってください」


 そんなことを2人から言われ少し恥ずかしいが、二人に返事をして、直ぐに意識を集中していく。


 今回作る拠点は地下に作る予定だ。

原来地下に住むというのは、多くのメリットがあるが、とてつもない労力が伴う。空間の確保、これは地上でも同じことだが水食料の確保が挙げられる。地下に作るとなると土を退かさないと話は始まらない。これらの要因から人類は地下への建造を拒み、極力地上での生活に生活圏を置いた。ある噂では地下帝国は滅亡するとか。


 上記でも言ったように、地下に拠点を作るメリットはいくつかある、まず一つは敵などに見付かり難い所、もう一つは敵などの侵入者に対する防衛のしやすさ、もう一つは大きく作れる所の三つだ。大きすぎると、崩落するが俺が使える魔術で補強すれば問題は無いはずだ。それにこのあたり一体は表面を湿りやすい土が覆っているが、下は硬い岩盤がある。強度は問題ない。

最終的には地上にも巨大な要塞を建てる予定なので的に見つかりにくいのは序盤だけになるが。

 そしてどんどん拠点となる所が作られていく、そこから三分がかりで作られたのは、洋風形式の屋敷だった。

 ここに自生する木は止まった事が無い程に背かある為、それなりの、そうウルクの城壁の様な大型拠点を地上に作らない限りは平地からは観測不可能のはずだ。


「よし、やっとできた。凪、アテナ、中を紹介するから来てくれ」


 まず入り口は両扉になっていてとても大きな扉が付いている。中に入ると少々広めな場所に出る、ここは所謂、アメリカ式の玄関の様なところだ、にしては広すぎる気もするがそこは、気にしない。建物の中はまだ内装もまともにできていない、しかしすべての部屋は地上勤務の兵士の武器庫や通信、簡易研究、治療室になる手筈だ。と言っても、俺の頭の中での計画なので手筈とは言わないが。


 少し進むと下へと繋がる大きな階段が一つある、まずはそこを降りていく。着いて来ている凪とアテナの二人は、興味津々と言った感じで辺りを何度も見回しをしている。

 四十段ほど階段を下りていき一階層目に付く、そこは、巨大なダンジョンになっていた。入ったそばからは確認出来ないがこの迷路とも言える巨大なダンジョンは、今は何もいない状態で止まっている。床や天井は灰色の石畳で、出来ており、とても古い歴史的建造物と間違いそうである。この階層は全階で三階で一階層分だ、その他の階層はこの様な特殊な造りではないが。

 奥には次の階層に行くためのこの場にそぐわないエレベーターが一つだけ置いてある。暗い石造りの壁に、明るい色合いなレトロな高級感のあるエレベーターは、不気味なほどであった。


 一つ一つ階層を回るのは面倒なので一気に第九階層へと降りていく。

 この九階層中央は、黒を基調とした豪華な作りになっていてまるで超高級ホテルのラウンジを思わせるほどの豪華さがある。

そしてこのエリアは他の九階層に在るエリアへと行く為の所になっている。

 そしてこの中央の場所は会議、及び多目的エリアとなっている。その中央部屋は大会議室となっており先程までとは一風変わった作りとなっている、無機質な素材で出来た巨大な机が置いて上には収納式巨大モニターがありとても現代感があるところだ。

 ここ九階層は会議室のある中央を中心にいくつかの区画エリアに分かれている、一つは居住エリア二つ目が娯楽、三つ目が大浴場、四つ目が大図書館、五つ目が宝物庫、六つ目が日本屋敷、七つ目が防衛室、八つ目が玉座の間。ヒロト達はその中の居住エリアに行く。

 少し移動し、居住エリアに着くとそこは超高級ホテルのロイヤルスイートの様なとても高級感のある場所となっている。

 赤い絨毯に壁に取り付けられた豪華絢爛の装飾品。見ていて息を呑んでしまうことだろう。

ヒロトは凪の部屋も作っているので、それぞれ自分の部屋はと向かう。


「うわ~ スゴーイ!」


 凪が部屋の奥へ走りながら、顔に笑みを浮かべとても嬉しそうに言った。

 凪は勿論超高級ホテルなどには、それほど泊まったことがなく、こんなに広くてとても高級感のある部屋が自分の部屋になったのが、とてもうれしい様だ。そういう点では凪には苦労をかけていたのかもしれない。


 ここは地下なので太陽光は全く無いが庭に繋がる壁一面の巨大な窓からは人工光が部屋全体を明るく照らすこの光は出来るだけ太陽の自然光に近づけた物だ。

 アテナはというと第七階層が自分の守護階層なのでそこに住むことになった。

 それをアテナに説明すると少し悲しそうになったがヒロトが 何時でも来られる、と言うとうれしそうな顔になったのでヒロトは安心した。


 アテナは今、ヒロトに与えられた階層に居た。

 ここは、とても明るく比喩表現ではなく本当に雲の上だ。


「・・・・・綺麗」


 一言でも表しきることが出来ないほど美しい。子供が何気なく言うな一言とは全くの別

 風光明媚、絢爛華麗、絶佳、明美、端麗、秀麗、婉美、どれを持っても表しきれない、この世界の真意を形容するものが思い付かない。

 アテナは驚喜に心を躍らせながら、何も居ない何も無いこの場所で花を咲かせる。


「神の軍勢!」


 アテナの技で召喚されたのは、熾天使セラピム5体 智天使ケルビム10体 座天使スローンズ25体 主天使ドミニオンズ40体 力天使ヴァーチュズ45体 脳天使ラバース45体 とゆう、凄い軍勢がここに現界した。魔術を超え、魔法の領域まで行きかけない御業。


「流石は、魔術師を超え、この世の深淵を覗き魔法使いとなった御方。生まれてこの方、他の世界を行き来している者なら拝見しましたが、ここまで世界を新たに創り変えるのは、初めてです」


 この天軍と一般人が戦ったならば戦闘開始直後、無意識下、一瞬で、瞬時に、息もつかせずに灰と化すだろう。


「こんなとこでしょうか」


 仕事を終わらせて先程ヒロト様に指定された場所に赴く。

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