第7話 臥龍は顕界しソレを世界に刻む
「ヒロト様 私は一緒に残ります」
「私も残るからね、お兄ちゃん!」
真剣な表情からは絶対にいつもの俺であればいう言葉にも逆らうことも厭わないという強い覚悟が感じられた。
会話が終わると丁度大男が体の節々に刺さった剣を抜き終わった直後だった。
剣を抜くとほぼ同時に再生する体は完全に生命の息を出た者であった。この再生能力の高さは、上位の吸血鬼にも引けを取ることはない。その不死性の高さはまるで呪いの如く忌々しい。
こちらの心情もお構いなしにあの大男が起き上がりこちらを睨んで突っ込んできた。
先ほどよりも明らかに早い突進それを三人は綺麗に交わし、その隙に俺とアテナが持っていた剣で背中を攻撃する。
「ウガァァァァッ!」
ダメージが入ったのか、大男はうめき声を挙げ傷口を抑えているしかし物の数秒で完全に完治し傷はない。
神話の時代から再生能力が高い生物は多く存在していたそんな厄介な敵の対処法として火であぶるというものがある。
しかし炎は使えない、この大男を燃やすにはそれなりの火力が必要となる。となればこの閉所では物の数分で酸素を使い果たして自然鎮火。その上半分人間の凪が窒息死という最悪の結果を招きかねない。そのため選択は一つに絞られるというわけだ。
ヒロトは大男が気をそらしている合間に新しい武器を作り始める。
そうはさせないと思ったのか大男が大剣を振り上げながら襲って来た、がそれを許すはずもなく凪が結界を貼りヒロトを守る。
そこへ何かの詠唱をしていたアテナがスキルを発動させる。
「神の軍勢!」
そう言うと天井が光出しその光から何かが舞い降りてきた。
舞い降りてきたものは神々しく光輝く天使だった。白妙の翼を背中に生やし宙に浮き続けている。まさしく番人が思い描く天使の姿───それはそこにあった。
天使の数は凡そ十体いる。それらが、あの大男に襲い掛かり串刺しにし、動きを封じる。
そして今先程までずっとヒロトが具象化していた物が出来たのだ、それはこの世界にはない元の世界に在った物であるそれは・・・
6砲身ガトリング式回転式キャノン砲M61バルカンだ。
毎分四千から六千発もの銃弾を放つ化け物のレベルの代物だ、それに加え俺は、魔術効果も付けておりその効果は万が一の事を考え、耐久最大強化を付けた、これで在れば最大出力でも通常のものよりは長く撃ち続ける事が可能。
遠い未来の武器は容赦なく敵に牙をむく
そして今ヒロトの能力が発動する。
「時間停止」
と、ヒロトが言うと、世界が突如凍結した様に時が止まった。この世の全てが止まっている時間はおよそ三十秒でそれも、一日に五回までしか使えないヒロトの能力だ。コレは今回の騒動で帰ってきた能力の一つ。
勿論この中はヒロトだけが動くことが出来る世界だ。
俺は大男から十メートル離れた所に立つ、そして銃を構え放つ
発射音は何故か聞こえる。時が止まった世界だと普通は音等も止まると思っていたのだが物理効果全てを止めることではなく光などは止まらない、時間を止めれば現実で無限に起きている物理計算が止まるわけで文字通り全て止まると予想していたっま、光が止まれば何も見えないので困るのだが。これは、実験でもして確かめるべきだろう。
弾の発射時に出るマズルフラッシュと同時に出る弾は次第に回転が遅くなり空中に浮く奇妙な光景だ。薬莢もまた同様、排蕎口から出ると、ヒロトの膝の高さほどで止まる。
大男の周りにある相当な量の銃の弾の数は増えなくなる、その理由はタイムストップの効果時間切れと弾を一セット打ち終わったからだった。
時が動き出し、怪物兵器を正面から受けそこに居たのは、全身血塗れの哀れな肉塊となったあの大男だった。目を見開き見た凪やアテナは驚いた様子だ。
少し考えたアテナは何故こうなったか、ヒロトに有ったスキルを思い出す。
「ヒロト様 あの技を使ったのですね」
笑顔でアテナが話しかけてきた。目の前のものは気にも留めていないのだろう。
この能力が今使えると分かったかは、自然と分かったとしか言いようがない。これらの能力は、あの大戦争以来俺が使えなくなっていた、能力の数々。こっちに来てからそれが多々ある。何故使えるかは分かっている、それは俺がこの並行世界にきたのが原因なのだろう。
そんなことをしていると、凪が、何のこと、と言って来たのでアテナが後で教えてあげた。
「ところで、ヒロト様その武器は?」
「M61、20mmのガトリング砲だ。日本ではコードネームのバルカンと言われている。このバルカンは現在M61、M61A1、M61A2の3モデルが存在し、信頼性の高さから1958年にロッキードF-104 スターファイターに搭載されて以来、アメリカ空軍の機関砲を搭載した戦闘機のほぼすべてに採用されている。また、
その後この迷宮をでるはずなのだが戦いの衝撃で壊れたのか階段に繋がる道が崩落し先に行けなくなっている。
「どうするの? お兄ちゃん」
勿論壊す事も出来るがどのぐらい崩落しているのか分からないため予想以上に時間が掛かる可能性がある、ヒロトは考え悩む。
仕方がないが魔法を使うか。
世界の断り、アカシックレコードに触れる。
それは何所までも暗く底の知れない暗い円、そこに指先が触れる───。
「凪、アテナここからの移動手段が出来た、行くぞ」
凪たちは了承しヒロトの周りに集まる。
「どこに出るか分からない 気負付けてくれ」
少しの不安、恐るるに足らぬ事故の注意事項を告げ
アテナと凪はヒロトの言った言葉にヒロトが居れば問題ないと、思ってくれている様で頷いてくれた。そして三人は時空を通っていく。
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