第6話 強敵の出現
「全員! これはさっきの敵とは桁が違う、気負付けろ!」
勇輝の言葉を聞きやっと全員が自分の武器を構えた。周囲の風邪を巻き込んで、とてつもない突風を巻き起こす。その巨体に似合わぬスピードは見るものを圧倒しまるで大砲の如く勢いは止まることを知らない。
「グガアアアアァァァァァ!」
皆に突っ込んで来る大男の間に、盾役を名乗り出た勇輝と斎木真守が入って皆を守る。
次の瞬間大男と二つの盾がぶつかり合いガッキィィィィンンと甲高い金属と金属がぶつかったかのような鈍い音を出して。勇輝と真守がその勢いで吹き飛ばされた。
大男の勢いはほとんど変わらず、そのまま突っ込んで来た。凪が結界を貼ろうとするが間に合わずそのまま大男が到達した。
大体の人は避ける事ができたが固まって動いていた為、五人ほどはギリギリ避ける事が出来なかった。
「「「うわぁぁぁぁ!」」」
「「キャャァァァ!」」
五人が吹き飛ばされた。
大男の突進をまともに受けてしまった五人は気絶しているようだが、骨が折れている恐れがある。
五人にあたってもそれでもなお大男の追撃は終わらない、大男は大剣を振り上げ攻撃して来た。
キィイイーン
先程の攻撃よりも甲高い音と共に火花が散った。そこに立って皆を守っているのは、他でもない、有栖川ヒロトであった。
「俺がここでこいつを食い止める皆は早く階段を上がって逃げろ!」
まるで人の言葉が分かったのか大男はヒロトを押しつぶす勢いで力を込めてきた。四つの腕から繰り出される幾多の振り下ろす攻撃を耐えた。
その瞬間ヒロトの足がこの洞窟の床の岩にひびが入り大きく割れ地面に足がめり込む。
このままでは押し潰されるのを悟ると力を込め押し返す。
「ハアァァァァッ‼」
気合いを込めた咆哮を轟かせヒロトは大男の武器を弾き飛ばす、その隙に大男を斬る。
パッァァァン
が、もう一つ持っていた武器でガードされた。
しかしヒロトの一撃を耐える為に飛び退いた勢いが足され壁に背中からぶつかっている。
即座にヒロトは自分が使う原来の魔法を発動させる。
魔法は大抵詠唱がいらない。諸説あるが(と言っても使える者は五人だから五人しか考えないが)作られた時点で完成しているから出そうだ。
魔術はいちいち、準備をして詠唱して初めて発動するものだ。しかし魔法は、その魔法そのものの概念が生まれた瞬間から、世界に記される為、ある種のパスポートの様な働きをうむ。
例えば火をつける魔術があったとしよう。この魔術は科学でも、起こせる為に過程が多数でも存在する、その為枝分かれするものから選ぶにはそれが魔術であると決定させる、絶対的なものが必要になるそれが、詠唱だ。要するに料理の様に何をどうして何を作るのかと言う事をするのである。しかし一方で魔法はそうではない。魔法はそれでしか起こり得ない出来事。例えば時間停止。これは感覚で近い者はできても、完璧に止まることはできない。科学でも時間が止まるなか人が動くと摩擦で燃え尽きるそうだ。光と時間の関係は、少々長くなるのでここではなくまた今度話をしよう。つまり超自然的な出来事ほかではあり得ないことが魔法である。勿論魔法も魔法でなくなる時はある。昔はいくらでも魔法はあった。火を起こすことから始まり、火打石で魔法ではなくなり、迫害され。禁忌とされ、我々魔法使いも魔術師も追われた。
奴によって。奴は人類の味方にして我々の最大の敵、俺でも勝てない絶対。アイツを殺しかけた。奴に償いをさせる為に俺は、数千年間、すべてをしてきたのだ。その結果魔法である。
俺は魔法を発動させる。神のもとで育ち自分を偽ることで発現させた魔術、変化の魔術。魔法──創造具象でロングソードを作り出し大男に向かって投げつける。
反動で動けない大男は体にロングソードが手足に突き刺さり少なからず動けなくする。
戦闘を繰り広げていた間に上の階に上がる階段まで到着していたが・・・
四人だけ残っていた、それはアテナと凪と香織と舞だ。
「! 早く階段へ走れ!」
それでも、アテナ達は動かなかったヒロトを置いては行けないらしい。
「有栖川君を置いてなんか行けないよ!」
他の子も同じようでヒロトが向くと頷いた。しかしヒロトはどうにかして舞と香織は逃がさないと、と考えた、理由はこの四人の中では、守る術を持たない舞と香織はヒロトでも守り切れる自信がなかったからだ。
それでも香織はここに残ると言い出すだろうそれでヒロトは一つ香織にごめん、と謝り、睡眠魔術で眠らせる。
「北条 白崎の事は任せたぞ」
ヒロトは舞の方を見て言ったそして舞もヒロトを見ていた。舞は覚悟を決めたようで、香織を預かりヒロトにこう言った。
「絶対 帰って来てよ」
ヒロトは舞の真剣な表情を見て、舞の目を見て答えた。
「ああ 分かった」
その言葉を聞くと舞は少し安心した様で香織を抱えて階段を上って行った。
「ヒロト様 私は一緒に残ります」
「私も残るからね、お兄ちゃん!」
真剣な表情で言ってくる。二人にはもう、何を言っても聞きそうにないので諦めて一緒に戦うことにした
アイツが残ると言わなかったのは、予想外だがきっとアイツがクラス連中を助けるのだろう。
そこまで仲良くはなくクラスでも決して馴染んでいたとは言えない。どちらかと言えば浮いていたとさえ言える。クラスの者とは話もせず、ただひたすらに学校に来ては授業を受けて、いつものように帰るだけの、それだけのこと一緒にいると願っただけのことそれだけなのである。
誰が為に彼女はそう動くのか最愛の人を残して。
日本名 月ヶ瀬 瑠濟
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