第5話 難解な依頼
中世後期となると科学の発展は粗漏状態のままであるから、魔法がこんなにも横領跋扈しているのかもしれない。科学で出来ることは魔法では無く魔術となる、この定義がこの世界でも反映しているはずだ。
その後何事もなく登録が完了し早々に依頼を受ける事となる。
『ありがとうございます。では少々お待ちください』
受付の女性は一回頭を下げ、即刻奥の部屋へと入っていく。
ハンターとしての登録を終え早く依頼を受けてお金を稼ぎたい、と誰かが言い早くも依頼を受けることになった。
このハンター及び冒険者にはランク付け制度があるらしい
一番下から順に、銅、鉄、銀、金、白銀、ミスリル、オリハルコン、アダマント、メテオライト と言うようなランク付けがされている。最高ランクのメテオライト級になってくるとこの世界に四チームしかいない。
ま、俺たちは今登録したばかりなので一番数も多い銅のランクだ。
ハンターはランクに応じて印となるドッグタグによく似たものを最初はタダで支給してもらえる。
後で聞いたのだが、ランクの印は特に見えるような物にはしていなかったらしい、中位の冒険者が各上の上位冒険者と知らず口論になったことが原因で今のようになったらしい。それと依頼を受ける際に自分のランクに応じた依頼しか受けられないそうで、高い依頼を受けたかったら、早くランクを上げなければならない。依頼の中にはフリーで自由に受ける事の出来る物があるらしいがそれでドラゴンなどの最強種を狩れば、一度で英雄になれるそうだ。
しかしこんな一面もあるギルドの訴訟等で死んだとなればその家族やなどにギルドの失態として慰謝料や損害賠償が手渡されるそうで、その中でも大きな事件は、一流冒険者がギルドの不備により亡くなるということが起きた、その時支払われた損害賠償の額が日本円にして七億円だそうで相当な話題だったそう。
並行世界人様御一行は依頼を受けるため大きめの看板に貼られていた、依頼が書かれた洋紙を見定めていた。
「皆どの依頼にする?」
「この、サンドワームって、言うのはどう?」
このサンドワームと言うのは知ってのとおりの、良くRPGなどに出てくるモンスターだ。
この世界のサンドワームは無脊椎動物門竜目毒竜科に属す。口の直径十五メートル以上、全長百十メートル以上のとても凶暴なモンスターとなっている。ここまでの巨体であれば必要とする食料や酸素量はこの世界にはないはずだ。
俺が見たのは使い魔として見たものだ、俺との相性は最悪で俺に瞬殺されてしまったが、今はあいつの主人は教会に追われている筈だから。またどこかに潜伏でもしているのだろう。
「そんな、芋虫モンスター討伐より違うのにしようよ」
大変嫌そうに答えた香織。
それ以前にランク的に行くことも出来ないうえ、依頼内容のサンドワームの生息区域はここから南に二千キロの地点にある砂漠に棲息している、この世界での文明レベルでの交通手段だと馬車でも七十日、食糧確保も儘ならないこの現状下では、愚行に等しい行為だろう。
「じゃあ、どんなの?」と舞が問いかける。
「・・・・じゃあこの迷宮の宝探しはどう?」
この迷宮の宝探しと言うのは、その名の通り宝探しである。
フリークエストのこの依頼は探索した迷宮の宝をもらえるのと依頼主から報酬がもらえると言うもので、モンスターを全て殲滅すると追加報酬がある。
その依頼に納得してその依頼を受けることにした。
ここは王都郊外の迷宮
その地下三階ヒロト達一行はモンスター達を狩っていた。
「ここのモンスターは弱いから良かったね、舞」
「たしかに、もしもここのモンスターが強かったらどうしようもなかったからね」
「それにここの戦利品も、もらえるからなかなかいい、依頼だよな」
勇輝(クラスの中心的な人物の一人)がクラスメイトの手助けもしつつ出てくるモンスターも倒し先へ進んで行く。
勿論ヒロトも戦うので受け取った剣で凪とアテナと会話しながらだが戦っている。
しかしこに世界に来たばかりの此奴らの生き物を狩るという行為に一切の抵抗が見られない、もしかすると、精神汚染的な術の類があるのかも知れない。
香織がヒロトの事を見つめていたことに、舞が、気が付く。
「なに 有栖川君の事見つめるの」
舞がからかうように、香織に言った。
「み、見つめてなんかないよ!」
香織が焦った様子で、言い訳をする。
舞はもう少しからかってやろうと、思ったが流石にこれ以上やると香織が拗ねてしまいそうなので、止めておくが少し笑ってしまう。
流石にここまで簡単だと相手が可哀想になってくる、会敵した瞬間には舞の弓が飛んできて、当たらなくても総勢30名余りの人間の攻撃がその体を襲うのだひとたまりもない。
少し歩いているとやや大きめな所に出た、ここはいわゆる、休憩所みたいな所みたいだ。
壁には所々石か何かが青白く光っているのが幻想的で、しかしこの暗さのせいかシュルレアリスム的で恐ろしくもあった。
三人の生徒で壁にある突き出た燭台に松明を建てていき一行はここで一先ず休憩する。
「疲れた~ いくら弱くてもこんなにいたら、きついな~」
勇輝が床に腰を下ろしながら言う。
「そうね 確かにこれだけ弓を引いていたら流石にしんどい」
弓を引くジェスチャーをしながら舞は言った。そのころヒロト達は皆と少し離れた所で休憩していたのだが、そこへ香織がやってきた。
「有栖川君 大丈夫?疲れてない?」
この中で一番強いヒロトは勿論疲れてはいない。
「ああ 大丈夫疲れて無いよ」
「凪は、大丈夫なのか?」
凪はそう言われると顔を赤くしながら答えた。「だ、大丈夫、疲れないよ」
「アテナも大丈夫か?」
「はい私は歩いていただけなので」
「そうだよな」俺は質問した自分に呆れた。
ちなみに、クラス全員が持つ金属類の武器は全てアテナが用意してくれたものだ。
受付に話を通し、倉庫から皆が自分好みの武器を取った。それを今俺たちが使っている。その為あってか、借り物と思っており、傷付けまいと慎重に扱わざる追えない状況だった。
5分ほどで休憩は終わり再び探索を開始し始めた。ヒロト達は何故か一番後ろにいたが勇輝達は何も言わなかった。
長い探索を終えやっと最深部に到着した。最深部はとても広いホールのような場所だ、きっとRPGで言う所のボスのようなのだろうが出てくるのがバレバレである。
ズドオォォォォォン
凄い轟音と共に降りてきた若しくは落ちて来たのは、身長約五メートル、腕は四つ着いており、その腕一つずつ二メートル級の大剣を持つ大男だ。
その大男が下りてきた瞬間この場の空気が変わったのをその場に居た全員が感じ取った。
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