第4話 返還し喚起する

「さあ!有栖川君!全部説明してよね!」


 そう言い放ったのは、香織の親友であり俺の一応、幼馴染でもある北条舞だ。


 舞も俺の暮らす家庭と同じ魔術師の家庭であるということは知っている、昔はこの家とあと二つの家で魔法の一歩手前まで行ったそうな。


 魔法とはあらゆる魔術師が目指す到達点。世界に五人しかいない魔法使いが使う、奇跡の体現。時間を旅し、生命を作り出し、不老不死を会得した、正真正銘の超人類そんな輩の集まりはやはり変人が多い傾向にある。


 今ヒロトは、クラスのほぼ全人から強めの視線を向けられている。

 何故俺から事情を聞こうというのか。当事者ではない可能性があるというのに。まあ、一人だけ遅れて来れば怪しいのは必然だが。


 俺が質問責めに会う姿見ていた凪も何を言って良いのか分からずオドオドしていた。


 今居る場所はルベリア王国と言う大陸の中央に位置する大王国である。

 ヒロトは、その国の政治の中心、王都、アメステルダムと言う街に顕現した。

 そこは国の王都に在るため、他国や他の街から来る人や物の交流が多く商人の集まる街としても有名だ。その代わり、この町の治安、警備は高く一つの道を十分おきに衛兵が巡回している。これも人の流れが多くこの国の上流階級の人間を守るためなのだろう。俺たちはそんな街の丘の上に居た、いやこれは只の推測で丘ではなく公園かも知れないがその中心にある大きな木の下に居る。


「分かったからそんなに怒ないでくれ」


 ヒロトは今まであった事を少し変えて説明した勿論願いの事は黙っておく。こういう類のことは、争いの種にしかならない。喋らないのが先決だろう。


 アテナがこっちに来て耳元で声を小さくして「何故ウソを吐くのですか?」と聞いてきたので、ヒロトは少し動揺して誤魔化した。

 アテナは分かってくれたのか問い詰めたりはしてこなかった。

 誰かの顔に動揺の様子があっても。


 今クラスの人達はと言うと何やら話し合っているようで、皆何か言って居る様子だった、ここからでは何を言っているのか上手くは聴き取れない。と言うか、俺の友人達は、こちらをチラチラ見ては笑い、こんな時でも楽しんでいる様子だった。

 少しの間で意見が決まったのか俺の方にやって来て内容を話した。


「何でお前がこの美少女二人と居るのかは分かった」


 何故二人かというと、凪が学校三大女神の一人だからである、凪はスポーツ万能成績優秀のもあり、他の学年にもよく知られる有名人である。

 俺が何故が兄妹、凪のことを言わなかったというと、言う理由がなかったという単純な理由である。しかし、凪はそんなことは無く友達に兄妹だと言っていたようだが、何故かそれが広まらなかったのだ。


「俺たちはこれからどうすればいいだよ!」


 と一人の男子が言うと、クラスの皆は俯いて不安そうな表情をしている。無理もないのかもしれない。大体こんな知らない土地で知らない言語の世界で生きていくと言う方が難しいのだ。ここでは保護してくれる大人も法も世間もありはしないのだから。


「アテナこの世界に皆が働ける様な所はあるか?」

「ハンターはどうでしょう?皆さんこちらの世界の普通の人よりは強くなっているはずですから、まずはそこに行ってみましょう」


 ヒロトは大きく目を見開きアテナにだけ聞こえる声で言った。


「そうなのか!?じゃ俺も上がっているのか?」

「いえ、ヒロト様は最初から高いので上がってはおりませんが、この世界でしたら、容易裕福な生活をすることが可能かと、手始めにギルドなどで依頼を受けてみては?」


 その話を聞いたヒロトは皆にその事を話した後で、皆でギルドに向かった。

 やはり商人の街とゆうこともあり人通りが多いい。


 流石にこの数の団体が同じ服装で動くと目立つ様で人の目が気になる。その中でも金色の甲冑を着こんでいるアテナは言うまでもなく一番特筆していると言っていいだろう。


 5分くらい街中を歩いていると、目的地に就いた様だ。

 大きさは住宅地にある家とは比べるまでもなく、銀行などの公共施設ほどはある。


 すれ違う人々の、言葉はどれも日本語ではない。

ドイツ系の言語だ、一時期ドイツに住んでいた時期があったので、日常会話となれば苦労はない。

しかしクラスの者は如何だろうかね俺以外にドイツ語が話せる人がいるかどうか。いったい如何するのだろうか。


 ハンター、正式名称はハンターギルド、狩猟協会組織狩猟担当役員の総称。

 ハンター並びに冒険者の組合のようなもの。

 知識や経験がない者が無謀な狩猟で命を落とす事が無いようにと各地の狩猟拠点で自然に根付いていった組織である。

 ギルドに入るとそこは、綺麗な木造りで出来ており天井は吹き抜けで開放感がある。幾分かの人は楽しく話していたりして、暖かいい雰囲気と言った印象だ。


 正面にはカウンターがありそこには何人かの女性がいる。

 右手前には待合室があり何人かの人が座って待っている事が窺える、室内は個室の造りで、きっと冒険者の相談 ケア、アドバイス カウンセリング等を行っているのだろう。


 「ここは俺の任せろ!」


勢い良く飛び出てきたのは、クラス一の厨二病患者こと、淵部 蓮太郎 


「この世界の住民は、異界の言葉を発する様だ、ここはこの異界の言葉を操る俺に任せろ!」

「フッチー何でドイツ語わかるの?」

「お前も異界の言葉がわかるのか⁉︎いいだろう教えてやろう、それはな俺の前世がー」

「そうゆうのいいから」


クラスの仲間からの心ない言葉で、一気にテンションダウンなフッチーこれいかに。


「ただ勉強したから。あ、勉強した理由はただかっこいいからです、ハイ」


だそうだ、シンプルイズベストなのだろうが、俺はその意志の強さを称えるよ。

 そこから彼は受付嬢へ近づき、流暢に喋り出した。


『ここで依頼を受けたいが如何すればいい?』


 ギルド運営陣の一職である受付嬢。

 アテナの話によればハンター、ハンターをはじめとした中核要員の殆どは多数派の人間だが、上層部は少数派の竜人が占め、同じく少数派の亜人は彼らの補佐、または末端の労働者に収まると言う構図が往々にして見られる。亜人の管理職もいるそうなので種族で階級を決めている訳ではないことだそう。


『分かりました、その前に、ギルドに登録はされていますか?』


 問題なく言葉は通じたようだ。

決して疑っていたわけではないが、彼は如何も信用できないと言うか何というか、任せていられない、という感じな男。根はいいし、頭もいいのだが。


 受付嬢の丁寧な対応でここにきて、依頼を受けるには、申請をすることが判明する。


『いいえ、していません』


 登録している訳もなく蓮太郎は当然のごとく答える。

 そこで背後からアテナが出て来ては、受付嬢と対話している。

 何やら受付に話している様だが聞こえない。そのおかげなのか知らないが簡単に、登録が終了した。


 ギルドの登録方法は主に二つある、

 一つはキャラバン遠征中による一般人もしくは先住民をスカウト、もう一つがギルドの一年周期で行われる採用試験がある。細かく行くと例外となるものがあるのだそう。

 ハンターギルドか、まるで部活仲間でやった、TRPGに似ているな。


 街並みを見ていた限りでは中世から近世にかけての後半のルネッサンス初頭と言った感じである、建造物は主に五階建ての高層住棟で搭状住居が林立している、これが摩天楼都市である。ほとんどの住居は中庭型住居だ、気候や災害への防衛対策、軍事的防衛、高密度、プライバシー確保が理由であろう。主要道路以外は敵が進行妨害のために迷路状の複雑な構造を形成している。


 道幅が二十mの主要道路は多くの公共施設や武器、香辛料、革などの様々な商品を扱う市場が立ち並ぶ。

 街の中心には古代ギリシアにあったとされるアゴラもある。

 アゴラは一般的商取引や政治活動の中心であり集会、議論、裁判などが行われていたと勉強した。


 この世界の魔法使い通称、魔道士なる者が存在するらしい。なろうと思えば誰でもなれるわけではないらしく。そしてその魔道士の中でも強さが決まっているとの事、一階位魔法から十階位魔法まである。一階位魔法から六階位魔法が一般人の限界と言われ。そして七階位魔法から上が一つまみの人間の領域らしい。人間の限界が第七であるのに対し。位が第十まであるのは、神話や文献にその記述が残っていたのが理由だ。そのほかにも、ごくごく稀に使える人間んが現れるのだとか。

一般人の限界の六階位魔法となる理由はいくつかあるが大体が、魔力量の少なさらしい。たとえ多くともこの世界の人間は生きても五十年、貴族でも六十から生きて七十歳との事だ、その寿命の短さ故に魔道士は先祖代々魔法の技術を継承するそしてまた研究し継承を繰り返すそして魔道士の最柊到達地点を目指す。


 その他の魔法の衛生改善のおかげで平均寿命は元の世界の中世から近世にかけての寿命より長いとの事。

 (概念的なものは魔術と同じか?)

 根本的な所は同じだがあちらよりも多くの輩が行使し、その存在が確証し、位のつけ方が大きく違っているといったところか

 あっちでは魔術師の方が多くいて魔法使いは俺を入れて五人しか居なかったが、この世界はそれだけ多くいるのか?

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