第3話 並行世界への逸脱
「貴方様が、我を呼び出したのですか?」
ヒロトは、何が何だか分からず呆然とし立ち尽くすしか出来なかった。
顕現するは、この世の者とは思わない程神々しい者だった。
おそらくだが、女性だろうか? 全身を黄金の鎧をまとい周囲が光って見える、第一印象は如何にも神じみたものだった。
「何のことですか?」
「貴方様が願いをおっしゃったのでしょう?」
いまヒロトは、自分が言った言葉を思い出していた。すると教室で言った事を巻き戻り原因を突き止めた。あの時か、と
するとヒロトは自分だと認めた。
「ならば、願いを言って下さい」そのままなんでもない様に淡々と続ける「願いは五つ、あと四つです 願いを言ってください」
ここは、お約束の三つではないらしい。それよりも、だ。こんな空間転移を出来るのは魔法の類、何故ここまで大掛かりな仕掛けを施したかが重要だ、こんな奸計をするのはあの爺さんくらいだ。
ここでヒロトは思い出したようで、そこの者に聞いた。
「クラスの皆はどうなったのですか」
「今頃は皆さん無事にあちら側について居ります。」
その言葉を聞いてヒロトはそうですか、と答え少し安心し、罪悪感が芽生えることなく終わった。こんなところでクラス全員が死亡したらたまったものではない。
「妹は、妹の凪は無事ですか!」
俺は気づくと凄く心配そうに神人に訪ねていた。ヒロト生涯ではこういう魔術師絡みの超常的事は多くあった、その為慣れとも言うべきかいつの間にか、焦りも消えていたが、その数多の異常事態にも妹を巻き込んだことはなかった、最初で最後がアレだった。
この焦りはまた膨らむ。
「すみません、分かりかねます・・・。」
この人はこの騒動に関与していない妹のことは知らない事であるようだ。
「妹の凪を連れてきてください!」
神人は一瞬驚きながらも、冷静に質問を返した。
「それは、願いですか?」
「はい それが願いです」ヒロトは少しも戸惑わず、すぐに答える。
「分かりました その願い叶えましょう」
次の瞬間教室にいたあの時のようにまばゆい光が視界を覆った。熱はなく、ものすごい光量、目を覆いたくなるが決して目にダメージは入らない不思議な光。
視界を奪った光は5秒程で無くなり眩しさの余り閉じていた瞼を上げる。
「・・・凪!」
「え!お兄ちゃん!何でここにいるの!? え、なにここ何処!?」
混乱しているようで今の状況に戸惑っているらしい。きっと学校に居たはずで急に景色が変わり知らない場所に居たら誰でも驚く。
そこに追い打ちをかけるようにヒロトが。
「うぇー! おおお兄ちゃんー! きゅ、急にどうしたの!?」
そのときヒロトが凪に抱き着いたのだ。
涙がヒロトの頬を流れる。
右目から流れた雫は、確かに涙に見える。
君を死なせはしない、生き続ける限り、決して君を一人にはしない。
そうこの兄有栖川ヒロトは、妹のことが、好きなのだ。
そんなことよりもとゆうような顔である者が話かけて来た。
「願いは叶えました。願いはあと三つ 次の願いを言って下さい」
「分かった」俺は頷いた。
ヒロトは十秒程、考えたがとくに考えは浮かばないし、もうすでに情報は出揃ったと言って差し支えないだろう。
「ねえお兄ちゃん 何の話をしているの? 願いって何のことそれにこの綺麗な人誰なの!」
少し怒った顔で凪が言って来たのでヒロトは少し戸惑っていた。
こんな状況は俺だって説明し辛い。
「えーと、そのだな・・・後で話すから、な」
「ダメ!今説明して!」
栗鼠の如く頬を膨らませ怒った様子で凪が迫ってきた。
「分かったよ、今説明するから。」
最後は妥協しその後ヒロトは、さっきまでの出来事を洗い浚い全て話した。
それを聞いた凪は、少し驚きながらもヒロトの話を真剣に聞いていた。決して信じられる話ではないのだけれど、信じることができるには、この世に魔術などという神秘があることや、自らの兄に対する信頼によるものだろう。
「今の状況分かったよ。でもお兄ちゃんまた最初に凄いことお願いしたね」
「いや!あ、あれは、わざとじゃないだ」
そんなことを言っていると、ある人が話かけて来た。
「お取込みの途中申し訳ございません。本当にもう願いはないのですね?」
「はい ありません」
「お兄ちゃん ほんとにもう無いの?」
凪が心配そうに言うと、俺はああ、本当にもう無いよ と言った。
叶えられる願いは叶えきた、もう望むことは無い。
「お兄ちゃんが良いなら 私も良いよ。」
俺は本当にいい妹を持てたと思う、軌跡全ては臨んだことだ。
神人が少し寂しそうにこちらを、見ていた。その視線に、気付いた俺が、神人の方を見ると、神人が少し顔を赤らめ、一つ咳をする。
「コッホン ではこちらで願いは決めて措きます」
「それはどうゆう・・・・」
ヒロトとの言葉は聞こえてなかったようでそのまま、話は次き、次の話になった。
「では今から並行世界の方に貴方様方を、飛ばさせて頂きます。」
「その前に あなたの名前を教えて下さい」
その言葉を聞いた神人は、少し驚いた様で、
3秒程ボーットしやっと答えた。
「私には名はありません。貴方様の好きな呼び方で呼んで下さい」
ヒロトは少しの間考えその名を呼んだ。
「アテナ アテナは、どうですか?」
無難だが良い名だと思う。鳳琉が聞いたら、腹を抱え俺を子馬鹿にしてきていただろう。しかしその友人はここにはいない。
アテナは顔を真っ赤にし、由向いて受け答えてくれた。
「は、はい、そのような、素晴らし名を下さりありがとうございます。・・・・・・・コッホン! 」
何故か最後に咳き込んで少し心配にはなったが大丈夫そうだ。
俺はその後アテナに敬語は止してくれと頼まれそれを呑んだ。
「それでは異世界の方に飛ばさせていただきます。」
それを言い終わるとアテナは何らかの呪文のような事を唱え始めると同時に魔法陣らしきものも現れた。
ヒロトと凪が顔を見合わせ目で会話したのか頷き合い覚悟を決めた様だった。
それから少し経つとアテナは言った。
「| saw the world of the age of God.I know the truth of the world and admire the world .《私は神の時代の世界を見た。私は世界の真実を知り世界を見極める》」
「Dislocation movement!《転移移動》」
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