第166話 眷属生成ア〇メ
蟻の女王レジーナ。
彼女はかつて秘密裏に大量のアーマーアントを生み出し、僕とアリシアの出身国を蝕んでいた魔族の女性だ。
死闘の末に追い詰められた彼女は万単位のアーマーアントを人里にけしかける命令を出したけど、幸い「仲良し」による「セットク」でどうにか被害を最小限に抑えて騒ぎは終結。
その後は被害を受けた街や村の復興に協力するため、レジーナは秘密裏に城塞都市のギルドと連携しながら新たに生み出したアーマーアントたちを使役していたのだった。
アーマーアントを生み出し統率するその力で、レジーナはシールドアの食糧不足の際にも大いに力になってくれた。ただ、アーマーアントを生み出すにはレジーナ自身大量の食料が必要になるため、彼女たちの狩りによって食糧供給を増やす速度にも限度があるのだった。
一方で最近は城塞都市周辺の復興も一段落してきたとルージュさんやギルマスから教えてもらったため、そちらに労力を割いていた既存のアーマーアントたちを食料供給に回せないかと改めてレジーナに相談しようと思い、この借家に戻ってきたのだけど……
「あ、あ、主様!? 妾のことはこの辺境都市に放置プレイしておきながら、そのスライムの小娘は一体……!?」
僕に頭を撫でられるペペを見て、レジーナが愕然と声を漏らしていた。
〈主従契約〉を結ぶための強引なセットク以来、僕に対する妙な被虐趣味と忠誠に目覚めてしまったらしいレジーナのその反応に僕は面食らう。
あ、あれ、そういえば色々バタバタしすぎてて紹介できてなかったっけ……!? と僕は申し訳なく思いながら、改めてレジーナにペペのことを説明した。
「ごめんレジーナ。紹介がすごく遅れちゃったけど、この子はペペ。〈主従契約〉と同時に〈従魔眷属化〉のスキルで僕の眷属になった子なんだ」
「ぺぺだよー。よろしくー」
僕の説明にあわせてペペが可愛く手を振る。
が、
「!?!? 主従契約に加えて、け、眷属化!? まだ魔族未満なだけでなく、妾のあとに主様のモノとなった二号の分際で……!? 眷属化など妾だってしてもらっておらぬのに!?」
モンスターであるペペには人族へのそれとはまた違う対抗心があるのか。僕に対する忠誠心がおかしなことになっているレジーナは説明を聞いてさらにショックを受けているようだった。加えて、
「えー。おねーさん、ペペより前にごしゅじんしゃまに仲良ししてもらったのに、けんぞくになってないんだー。じゃあペペのほうが先輩だねー」
「ああああっ!? ふざけるな小娘スライムがああああああああああ!」
ペペのその無邪気なマウントが女王のプライドに火を付けた!?
かと思えばレジーナはいきなり服を脱ぎ捨て、僕の足下にすがりついてくる!
「あんまりではありませんか主様! ケジメをつけるためとはいえ主様の元を離れ人間どものに協力してきた妾は放置プレイで、このようなぽっとでのスライムに
「わあああああ!? ちょっ、レジーナ!? わかったから服を着てお願いだから!」
一瞬で服を脱ぎ捨て全裸土下座をかましたレジーナに慌てて服をかぶせながら僕は全力で叫んだ。
う、うーん。
レジーナとの関係は強引な仲良しからはじまったものだから、これ以上スキルで縛るような真似は避けたかったけど……なんだかんだで街の復興や食糧供給に協力してくれたレジーナを仲間外れみたいに扱うのは確かに心苦しい。
それにここまで望んでいることを拒むのは逆に可哀想で、僕はレジーナに〈従魔眷属化〉スキルを使うことにした。ただ、
「このスキル、鑑定スキルで視た説明文には『従えたモンスターを2体まで〈淫魔〉の眷属にする』って書いてあるんだよね。魔族ってモンスターの上位存在というか、同一存在かどうかは結構曖昧らしいから、ちゃんと発動するかわからないよ?」
「それでも構いませんからどうかお慈悲を……!」
熱望するような表情を浮かべるレジーナ。
それを受けて僕は「それじゃあ……」とスキルの発動を念じる。
ペペが大幅なパワーアップをしたみたいにレジーナも強化されて、食糧供給が少しは楽になるかも、と少し期待しながら。
すると、
「お、おお……っ!?」
レジーナの身体が光り輝き、僕のステータスプレートにはペペに並んでこんな表示が増えていた。
〈淫魔〉の眷属
レジーナ 2歳 魔族 レベル210 メス
所持スキル
〈魔力防御〉Lv8
〈飛び爪〉Lv8
〈硬鋼閻羅爪〉Lv6
〈溶解蟻酸〉Lv5
〈眷属生成〉Lv9
「よかった、眷属化は上手く発動したみたいだ」
「あ、ああっ、ありがたき幸せえええええっ!」
レジーナが目に涙さえ浮かべながら歓喜の声をあげる。
けれどその一方、
「眷属になったはいいけど、スキル構成やレベルには特に変化がないね……?」
僕たちと戦ったときと変わらないスキル構成に首を捻る。
けどその疑念にはすぐに答えが出た。
「……ペペが進化したのは確か……エリオのアレを飲んだ直後だったはず……」
「! ならば喜んでご奉仕させていただきます!!」
「え、ちょっ、こんな昼間からいきなり――わあああああああああああああ!?」
アリシアの言葉にレジーナが即座に反応。
アリシアとの流れるような連携でレジーナが進化条件を満たしにかかる!?
そうしてレジーナが眷属進化の条件(意味深)を速攻で見たした直後、
「れ、レジーナ? 大丈夫? なにか変化はあった?」
僕は顔を赤くしながら訊ねる。
けれど、
「……レジーナ?」
僕の問いかけにレジーナがなんの反応も示さない。
いままでにないレジーナの様子を心配してもう一度声をかけようと手を伸ばしたのだけど……その直後。
「熱い……」
「え?」
「身体が、焼けるように熱く切ない……!」
「え、ちょっ、レジーナ!?」
突如。
進化条件を満たしたレジーナが凄まじい勢いで僕を押し倒してきた!?
それはアリシアとソフィアさんが剣の柄に手をかけるような勢いで、僕もその猛烈なアタックに目を丸くする。かと思えば、
「あ、ああ、主様……! お願いでございます……! どうかいますぐ妾にありったけのお慈悲を……! お慈悲をいますぐ……!」
「え、ちょっ、レジーナ!? いつもと様子が全然――!?」
レジーナが僕のことを二度と離さないとばかりにその豊満な身体でぎゅうううううっ、と僕を抱きしめたかと思えば――いままでにない勢いで僕を貪り始めた!?
「わああああああああっ!? ちょっ、レジーナどうし――うぶっ!?」
話を聞こうとするも速攻で唇を塞がれる。
〈主従契約〉では仲良しを止めるような命令も出せず、異常に積極的なレジーナのその様子に「も、もしかして眷属化の影響!?」と僕は混乱しまくるのだけど――異変はそれだけに留まらなかった。
ごきゅっ! ごきゅっ!
「っ!? な、なんだ!?」
僕の全身を、なにかが吸い取られるような違和感が襲ったのだ。
(……!? な、なにこれ!? 魔力と体力を吸われてる!? それも大量に!?)
あり得ない感覚に僕は再び目を剥く。
かと思えば、
「あ、ああああ、ああああああっ❤❤」
レジーナが僕を抱きしめながらぶるぶると身体を震わせる。
次の瞬間、レジーナが幸せそうな嬌声をあげると同時。
ゴロン――とどこからか卵のようなものが現れて。
ビシッ。
突如として生み出された合計10の卵に、一斉にヒビが入った。
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産むことに特化した女王アリのモンスター。それが魔族に進化し、さらに〈淫魔〉の眷属になればどうなるかというお話です。
※今回は一部表現を自粛していましたがそれでもちょっとヤバかったようで、2022.10.1に表現を大幅に削りました。すみません。
※また、淫魔追放第2巻が本日発売となりました!
ここでの応援はもちろん、各種販売サイトさんやTwitterでの感想なんかも続刊の助けになりますので、もしよければ色々と反応いただけると嬉しいです。続刊すればするほどイラストレーターさんのエッチなイラストが増えるので!
※それから近況ノートでもご報告しておりますが、淫魔追放のコミカライズが決定いたしました! ひとえに皆様の応援のおかげです!
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