第143話 イリーナ獣騎士団長のパワフル初夜


「いまからそれがしと、全力で交尾していただきたいっ」


〈牙王連邦〉を蝕むテロ組織の中枢に近づくため、国家保有のダンジョン都市を目指すことになった前日の夜。


 突如部屋を訪ねてきてとんでもないことを言い出したイリーナ獣騎士団長に僕は言葉を失っていた。


 するとイリーナ獣騎士団長は僕の反応を見て慌てたように、その大きな身体をバタバタさせながら声を張り上げる。


「も、もちろん不埒な意味ではないぞ!」


 全力の交尾が不埒な意味ではないとは一体……。


「これはアイラ女王の言葉だが、いまあなたと全力で交尾するのは極めて合理的な行動なのです! 聞けばあなたは、その、より上等なメスと交尾することで規格外の成長をするとのこと。加えて〈主従契約〉を結んだ相手を自由自在に召喚することも可能というではありませんか。国宝級マジックアイテム以上の奇襲性能だ。もしあなたがどこかでテロ組織の首魁シグマと相対することがあれば、交尾で成長したあなたとそれがしの2人でシグマを確実に仕留めることができる。普段はアイラ女王の警護で自由に動けないそれがしだが、あなたのワープ能力で極短時間離れるだけなら問題ありませぬ。それに、それがしにはシグマと剣を交えねばならぬ理由がある……ゆえに交尾をしない選択肢などありはしないのです! 常識的に考えて!」


 めちゃくちゃ早口でまくしたてるイリーナさん。


 あ、ああそうか。

 確かに言われてみれば僕がいまこの人と仲良しするのはメリットしかない。

 テロ組織のボスであるシグマはあんなにも強かったイリーナさんと互角だというし、周りに仲間を従えている可能性も高い。テロ組織を確実に殲滅するためにもイリーナさんと仲良ししておいたほうがいいだろう。アリシアも「……えへへ、またエリオに側室が増える……」と喜んでるし。


 と僕は一瞬納得しかけるのだけど、


「い、いやちょっと待ってくださいよ! 確かにおっしゃる通りですけど、さすがに国家最強の戦士が王族以外の人に隷属しちゃうのは不味いんじゃないですか!? 国防的に!」

「普通はそうだ」

 

 イリーナ獣騎士団長が顔を赤くしたまま真面目な調子で頷く。


「だが今回はアイラ女王があなた方を信頼できると断言した。さらに同盟を結んだとはいえ、それがしたちは現状、あなた方に助けられてばかりだ。この身を捧げる程度の誠意と信頼を示さずなにが同盟か」

「……っ」


 羞恥に顔を赤く染めて、けど国を守る騎士団長にふさわしい武人の目で断言するイリーナさん。 


(これは……断るんじゃなくて応えるのが誠意かな)


 と、僕が彼女の瞳を見て一国の最強戦士と仲良くする覚悟を固めていたとき。 

 イリーナ騎士団長は僕の沈黙をなにか別のものと勘違いしたのか、しゅんと落ち込んだように顔を伏せながらぽつりと呟いた。


「……いや、だが、もしそれがしのようなでかいだけの行き遅れとの交尾に抵抗があるなら無理にとは言いませぬ。その場合はせめてあなたのレベルだけでも上がるようアイラ女王本人があなたに身体を差し出すと仰っているから、そちらでも……」

「いやそれはもっとマズイでしょ!?」


 とんでもないことを言い出すイリーナさんの言葉を僕は遮った。


「そもそもイリーナさんとそういうことをするのが嫌なわけないですよ! 強くて国のことを想ってて、そのうえ凄い美人さんなんですから!」

「っ!? そ、そうでありますか」


 と、僕の言葉を聞いたイリーナ獣騎士団長が驚いたように目を見開く。そして


「で、ではなにも問題はないということですな……?」


 と、その大きな手で僕の肩を掴む。

 そして「さすがに他の方に見られるのは……」というイリーナさんに連れられ、僕はアリシアとソフィアさんを置いて隣室の巨大ベッドへ。


 ギシッと僕らがベッドに腰掛ける音が響くなか、イリーナ獣騎士団長は「ね、念のためにもう一度言っておきますが」と僕に鋭い目を向けると、


「これはあくまで、確実にテロ組織を壊滅させるための作戦の一環。あなたに信頼はあれど、国家最強戦士として不純な思いが入り込む余地は欠片もない。たとえ〈主従契約〉を結ぼうと、それがしの心は常に女王様のもとにあるとお考えください」

「は、はい。それはもちろんです。ええと、それじゃあ……」


 そうして僕らはまるで結婚初夜のように、互いに緊張した手を重ね合わせた。

 

 ――数時間後。


「な、なんらこれは……!? ダメなのにぃ! しゅきになったら発情期にアイラ女王を守れなくなってしまうのに……エリオ殿のアソコしゅきになっちゃううぅっ❤❤❤❤!?!?!?」

「ちょっ、イリーナさん!? もう〈主従契約〉は結ばれたのでこれ以上の仲良しは必要な――わあああああああああっ!?」


 その豊満かつ巨大な身体で僕を包み込むように押さえつけ、全力で飛び跳ねるイリーナさん。しかも王国最強戦士である彼女の体力は何度仲良ししても尽きることがなく、アレこれ色々とまずいのでは!? と僕は焦るのだけど、


「……お預けを食らったうえにこんなに激しいのを見せられたら……我慢できない……」

「匂いが……エリオのエッチな匂いが漂ってくるのが悪いんです……」

「え、ちょっ、アリシアにソフィアさん!? ちょっ、これ以上は本当に夜が明けて――わあああああ!? 男根分離! 絶倫スキル制限解除!」


 途中からアリシアとソフィアさんも参戦してドッタンバッタン大騒ぎ。

 僕は〈淫魔〉のスキルを総動員し、どうにかその激戦を乗り切るのだった。


 エリオ・スカーレット 14歳 ヒューマン 〈淫魔〉レベル330(前回から20up)

 所持スキル

 絶倫Lv45(前回から10up)

 主従契約(Lvなし)

 男根形状変化Lv25(前回から5up)

 男根形質変化Lv25(前回から5up)

 男根分離Lv12(限界突破。前回から2up)

 異性特効(Lvなし)

 男根再生(Lv10)

 適正男根自動変化(Lvなし)

 現地妻(Lvなし)

 ヤリ部屋生成Lv15

 精神支配完全無効(Lvなし)

 自動変身(Lvなし)

 眷属生成(Lvなし。威力は本人のレベル依存)

 射精砲Lv8(前回から5up)

 ????

 ※首都でのモンスター連続討伐分も含む


 アリシア・ブルーアイズ 14歳 ヒューマン 〈神聖騎士〉レベル130(前回から20up)

 所持スキル

 身体能力強化【極大】Lv20(前回から5up)

 剣戟強化【大】Lv15(前回から1up)

 周辺探知Lv13(前回から2up)

 ケアヒールLv10(前回から2up)

 神聖堅守Lv13

 魔神斬りLv10

 自動回復付与Lv10

 神聖浄化Lv5(前回から4up)

 ※首都での連続戦闘分


 ―――――――――――――――――――――――――――――

 ちなみに仲良し中は別の護衛を連れたアイラ女王が近くの部屋にいるほか、イリーナを王族アイテムによっていつでも召喚することが可能になっています(なので本当は夢中になって仲良しするのは良くないです。アヘ顔全裸で召喚されるので)。

 あとイリーナさんは翌日体力回復の秘薬(アリシアに存在がバレてはいけない)で強引に復活するので安心です。

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