第142話 テロ組織姦 ~広がる仲良しの輪~

「まさか、本当にここまで強力な隷属スキルが存在するとは……!」


 普段は眠そうな半眼をしている巨大美女イリーナ獣騎士団長が、ヤリ部屋から出てきたテロリストを見て愕然と目を見開いた。


「〈強王派〉の構成員は本人の寿命と引き換えに、犯罪者隷属用マジックアイテムの発動を妨害する入れ墨型禁呪を施されている。それの解除に資金と時間がかかるため、捕らえた下っ端から情報を引き出すのも手間だったというのに、それを一瞬で突破して……」


 言って、イリーナ獣騎士団長は仲良し直後で敏感になっているテロリストたちの身体をまさぐる。


「しかも通常の奴隷魔術と違い、隷属の証が下腹部の紋様だけ……!? 普通、人間相手の奴隷魔術は巨大な首輪などの目立つ魔道具が必須で、捕らえた犯罪者をスパイに仕立て上げるのも難しいというのに……! 事前に聞いていたがこの目で見ても信じられん……〈聖騎士〉をも隷属させるという最悪のスキルはどこまでも規格外ということか……」


「あ、あはは……」


 半ばドン引きしたように生き恥スキルの効力を確認するイリーナさんに、僕は羞恥を誤魔化すような笑みをこぼす。


 気まずい。

 とはいえイリーナ獣騎士団長の口ぶりからして、強制スパイを作り出せる僕の〈主従契約〉スキルが有用なのは確かなようで。

 

「ええとそれじゃあ、早速仲間のところに案内してもらいましょうか。怪しまれないよう、表情や声の調子にも気をつけてくださいね?」

「う、ぐっ……身体が勝手に……!? 表情も……!?」


 僕は慎重を期して幾つもの命令をテロリストに付与。

 倫理的にはアレな淫魔スキルをフルに活用し、テロ組織への突撃を開始した。


      *


「おいてめえら! 王妹の誘拐をしくじったくせによく戻って来れたな!? あたしが〝嬲り殺しのサラ〟だって忘れたか……!? なら望み通り生き地獄を……あ? 手土産? そのヒューマンの小僧が王妹に匹敵する価値があるとでも……は? なんだこの部屋なにがどうなってええええええッ❤❤❤❤!?


 仲良し。


「おいサラ、話ってのは一体なんだ。こんな人気のないとこに私を呼び出してなにか重大な問題でもおごおおおおっ❤❤❤❤!?!?!?」


 仲良し。


「……エリオ、無理な仲良しが続いて精神的に参ってる……今夜はたっぷり甘やかしてあげるからね……❤」

「え、ちょっ、アリシア、自動変身スキルで僕が子供になった状態で仲良しするのは戻れなくなりそうだから控えようって約束ア―――――ッ! 赤ちゃんにされるうううう!?」


 仲良し。


 仲良しを通して仲良くなったテロリストに、ネズミ算式に仲良しの輪を広げていく。


 僕のことを気遣ってくれたアリシアとのちょっと危ない休息も挟みつつ、その勢いは止まらない。


 そうして僕らは3日と経たず、あっという間に敵の主要アジトの1つへと到着した。

〈強王派〉を構成する7つの巨大犯罪組織の1つ。

 盗賊王セシルと呼ばれる強力な女性犯罪者が長を務める、窃盗や人さらいを専門とした盗賊団のアジトだ。


「てめえ、うちの部下どもを瞬殺するたぁどこの刺客だ……!? 連邦がヒューマンのガキを飼ってるなんざ聞いたこともねえが……まあいい。調子に乗って乗り込んできたこと後悔しなぁ! あたいにはレベル200を超える〈暗殺者アサシン〉の力と、上から支給されたこの強力なマジックアイテムの力がおほおおおおおおおっ❤❤❤❤!?」


 仲良し。

 そして盗賊団の長と仲良ししたことにより、配下の盗賊たちもすべて居場所が判明。

 各地の国家騎士団にも動いてもらうことで、一気に殲滅することができた。


 あとはこの調子でどんどんテロリストの勢力を削り、いずれは大ボスである鬼神シグマのもとへたどり着ければと思っていたのだけど……僕らの快進撃はそこでいったん止まることになる。


 というのも……、


「もう一度聞きます、盗賊王セシルさん。〈強王派〉を構成する他の犯罪組織のアジトや幹部の居場所に心当たりは?」

「ね、ねえよ! あたいらはこうやってどっかの部門がヘマやったときに情報が漏れねえよう、横の繋がりは完全に断ち切ってんだ! ボスのシグマが一方的に指令や資金、マジックアイテムを送ってきて、各部門が独自に動いてんだよ!」


「本当に?」


「本当だって! 王都に割と近い場所にアジトを置いてるあたいらと違って、他の部門は各地に散ってるっていうし、マジで接点がねえんだ! で、でもほら、傘下の盗賊団の情報は全部命令された通り喋ったろ? だからまたお前のえげつねえチ〇ポで乱暴に可愛がってくれよおぉ!」


 と、顔の傷が特徴的な盗賊女王セシルさんは腰をへこへこ振るだけで、次に繋がる情報を持っていなかったのだ。


「……私の発情期を狂わせるエリオのアソコでゴリ押しできないなんて……」

「国を揺るがす犯罪組織なだけあって、芋づる式に組織が潰されないよう対策は万全ということですのね。エリオ様の人権侵害チ〇ポは強力ですが、やはりそれだけで巨大組織を潰せるほど甘くはないということですか。もちろん敵の一部門を数日で壊滅せしめたのは大戦果ですが」


 狼人ソフィアさんとシスタークレアが神妙に言う。


 こうなったらまた一からテロリストを捕まえて仲良ししていくしかないのだけど……今回速攻で敵の大幹部のもとへたどり着けたのは、王妹殿下の誘拐を任せられるレベルの構成員と最初に仲良しできたからというのが大きい。


 それに今後も都合良く女性構成員に当たり続ける保証もない以上、仲良しのゴリ押しだけで〈強王派〉の中枢にたどり着くにはそれなりに時間がかかりそうだった。


 そこで僕は〈強王派〉が教会から支援を受けている可能性が高いという話を思い出し、教会にスパイさせている十三聖剣コッコロからなにか情報を得られないかと呼び出してみたのだけど……


「はあ? そんなのわかるわけないでしょ? 教会って一口に言っても広いし。内乱扇動とかそんなヤバイ情報、味方にもそうそう明かさないっての。んなこともわかんないなんてやっぱ〈ギフト〉が強いだけのガキだねー、あんた」


 と、情報はないうえにこの態度。

 まあもともとアリシアの命を狙ってたのを仲良しで無理矢理隷属させてるから仕方ないんだけど……と思っていたところ、


「……頑張ってるエリオにその態度……躾が足りないみたいですね……」

「またオ〇ホにしてあげたほうがいいかなー」

「……大丈夫だよソフィアさん、ペペ……表向きはこんな態度だけど……コッコロは定時連絡ついでに仲良しを重ねがけするたび……ベッドの上では甘えたさんが加速してるから……」

「……っ!? てめ……っ、適当なこと言ってんじゃねえぞ暗殺対象のクソガキが! 今度こそ殺すぞ!」


 殺気立つ狼人ソフィアさん&ペペに、落ち着いたアリシア。

 そして顔を真っ赤にして怒鳴るコッコロ。

 そのカオスな空間に僕が慌てていると、


「おいクソガキ!」


 羞恥を誤魔化すようにコッコロが叫んだ。


「用件は敵の中枢に繋がる情報だったな!? だったら敵の目的を探ってみな!」

「え?」

「暗殺の基本よ。敵の目的がわかれば、次の行動も読める。そのテロ組織になにかでかい目的があれば、有力な構成員の現れそうな場所もわかんでしょ」


 そして「助言してやったんだからもういいでしょ!」とワープで逃げるコッコロを尻目に、「敵の目的……」と僕は考え、そういえばと思い出す。


 テロリストがわざわざ王妹殿下を誘拐して、なにを要求するつもりだったかを。


      *


「王国が所有するダンジョン都市の明け渡しじゃと……?」


 後日。

 僕は盗賊王セシルから聞き出した王妹殿下誘拐の目的をアイラ女王に報告していた。


「ふむ……確かに連中はかなり初期からダンジョン都市で狼藉を働いておったな。都市を形成するほどのダンジョンは大量の資源を獲得できる練兵場であり、まさに国力の象徴。ゆえに嫌がらせを繰り返しておるのかと思ったが……王族を誘拐してまでダンジョンを欲するとなると、なにかあるやもしれん」

「ええ、わたくしもなんとなくそんな気がしますわ」


 僕の報告に、アイラ女王とシスタークレアが頷く。


 本当にコッコロが言うようにテロ組織の中枢へ近づけるかはわからないけど……この2人がこう言っているならなにかしら収穫がある可能性は高い。


「わかりました。それじゃあ次はダンジョン都市でテロ組織を潰していきます」


 そうして僕たちは次の目標を〈牙王連邦〉国内のダンジョン都市へと向けるのだった。



 その日の夜。


「さて、じゃあ明日からダンジョン都市だし、今日は早く寝ちゃおうか」

「……うん。じゃあ今日は仲良しも10回だけで……」

「……じゃ、じゃあ私も、2回だけお願いします……これ以上は本当に発情期が狂って……」


 今後の方針も固まり、僕たちは王城のゲストルームで就寝の準備を進めていた。

 新天地へ向かう前日ということでアリシアとソフィアさんも仲良しを控えてくれるようで、僕が部屋の魔石灯を消そうとしたとき。


 コンコン。


 堅牢な扉を叩く音。

 一体誰だろうと思って扉を開けてみれば、


「……失礼します」

「え、イリーナ獣騎士団長?」


 そこにいたのは、身長2メドルを超える見目麗しい巨女、イリーナ・エレファンティアさんだった。

 王国最強の戦士がこんな時間にどうしたんだろう。

 装備も2本の斬馬刀だけで妙に軽装だし……と不思議に思っていたところ、


「……その、なんというか、エリオ殿たちが向かうダンジョン都市はテロ組織がなにかよからぬことを企てている場であると思われ、敵の主戦力と当たる可能性も高く、念には念を入れる必要があり、それがしもいよいよも覚悟を決めねばと思った次第でして……」


 なにやらもごもごと言い訳じみた言葉を重ねるイリーナさん。

 ほ、本当にどうしたんだろうと僕が困惑を続けていた、その直後。


「なので、その……いまからそれがしと、全力で交尾していただきたいっ」

「……………え?」


 王国最強の美人戦士が生真面目に、かつ顔を真っ赤にしながらはっきりとそう口にした。


 ―――――――――――――――――――――――――――――

 やっと調子が戻ってきました。けどちょっと特濃すぎましたね。

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