第134話 〈淫魔〉VSテロ攻撃 空中戦


「「「グルアアアアアアアアアア!!」」」


 女王と王国最強戦士不在の王都で開かれたパレードの真っ最中。

 建国祭で賑わう街中に突如、凶悪なモンスターの咆哮が響き渡った。


「うわああああっ!? 〈強王派〉のテロだああああああっ!?」


 続けてパニックを起こした人々の口から悲鳴があがる。


〈強王派〉。それがいま〈牙王連邦〉を脅かす脅威の名前だった。

 武力による国家 簒奪さんだつを目論む過激な武装テロ集団。


 事前に情報を集めていた関係でその存在は知っていたものの……実際に目の当たりにしたテロの規模に僕は愕然とする。


(ゲリラ的な破壊活動で国家騎士団も手を焼いてるって話には聞いてたけど……厳重な警備下でいきなりこんな高レベルモンスターが湧いてくるなんてどうなってるんだ!?)


「「「グオオオオオオオオオッ!!」」」


 街中に出現していたのは、黄色い鱗が特徴的な怪物。

 数十体を超えるイエロードラゴンの群れだった。


 推定レベルはおよそ180。

 かつてダンジョン都市で対峙した青龍ほどのポテンシャルはないが、大きな翼による空中機動と遠距離攻撃を得意とするその性質は青龍とは違う厄介さがあった。


 しかもいきなり街中に群れで出現したとなれば予想される被害は計り知れない。


 国家騎士団も驚愕に顔を歪めつつ「王妹殿下と民を守れ!」と即座に動くが……空中に飛び立ったイエロードラゴンへの対処は生半可な近接系〈ギフト〉では難しい。そして厄介なことにイエロードラゴンの鱗には魔法耐性があり、空中を警護する魔導師たちでも討伐には手間取ると思われた。


「肉棒高跳び!」


 瞬間、僕は酔いどれシスタークレアの護衛をシルビアさんたちに任せて即座に動く。


 色々と気になることは残っているけど、いまはモンスターの殲滅が最優先だ。


 弾力のある異国の植物――ムキムキ竹のように変化させた男根を〈淫魔〉の膂力で限界までしならせ、反動で空へ跳ぶ。そして、


「男根剣!」

「ゲエエエッ!?」


 アダマンタイトの硬度と切れ味を誇る男根で、まだ大した高度に達していなかったイエロードラゴンを一刀両断。しかし攻撃はまだ終わらない。


「男根並列変化――男根空中立体機動!」


 ビュルルルルッ!


 手に握る男根剣とは別に、股間から生える男根を瞬時に伸ばす

 目標は比較的近くを飛んでいたもう一頭のドラゴンだ。

 細く伸びた男根がその太い首に絡みつく。そして伸びた男根を縮めれば、僕は空中を駆けるようにして瞬時にドラゴンの直上に移動していた。


「グゲッ!?」

「男根剣!」


 首に男根を巻き付けられて驚愕の声を漏らすドラゴンを再び切り伏せる。

 瞬時に2頭のドラゴンが沈黙し、肉塊と化して落下していった。


 その巨大な身体が人々を押しつぶさないか一瞬心配するけど、


「〈魔神斬り〉……!」


 眼下、〈神聖騎士〉アリシアの凄まじい剣戟がドラゴンの巨体を軽々と消し飛ばす。

 

「な、なんだ!? イエロードラゴンがいきなり……!? ええいとにかく被害は最小に抑えろ!」


 加えて、建国祭の警備に駆り出されていた国家騎士団はやはり優秀だったようで、降ってくる肉塊をどうにか受け止めてくれていた。これなら遠慮なくドラゴンを狩れる。


(大混乱はしてるけど空中警備部隊も隊長クラスっぽい近接〈ギフト〉と組んでイエロードラゴンに対処しはじめてるし、これならどうにか――)


 と、僕が男根空中立体機動も駆使して空中を駆け回り、次々とドラゴンを討伐していたそのとき。


 ドッッッッ!


「っ!?」


 人々が逃げ惑う王都が、再び大きく揺れた。

 かと思えば――。


「「「グオオオオオオオオオッ!!」」」


「な――!?」


 眼下に広がるレイセントの街に、またあり得ないものが出現していた。


 飛べない代わりに凄まじいパワーを誇るというモンスター、地竜。

 膂力に秀でたジャイアントオーク。

 強毒を持つオロチムカデ。

 凶暴極まりないキンググリズリー……。


 推定レベル150を超える100体以上の巨大モンスターが、王都全体に突如として現れたのだ。


 明らかに直前までなにもいなかった場所から、湧き出したかのように一瞬で!


 その悪夢のような光景を見て、僕はモンスターがいきなり街中に出現できた理由に思い至る。


(まさか、モンスターを生きたまま出し入れできる超希少アイテム、〈異次元殻〉を大量投入してるのか!?)


〈異次元殻〉

 それは獲物を生きたまま体内の異次元空間に保存する凶悪な希少モンスター、〈しまっちゃうマイマイ〉の殻から作られる特殊なマジックアイテムだった。


 たかだかテロ組織がそう簡単に数を揃えられるアイテムではないのだけど……状況からしてそれ以外に考えられない。


 そして大量の〈異次元殻〉を使っているということは――モンスターの出現は恐らくまだ終わらない!


「対処にもたついてたら本当にとんでもない被害が出る……!」


 残り10体程となったイエロードラゴンを空中警備部隊に任せ、僕は地面に降り立った。


 ―――――――――――――――――――――――――――――

 過激描写修正に時間がとられたのと、最近ちょっと文字数が多すぎなのであっさりめです(あと描写修正に時間をとられて返信できてないですが、コメントも全部目を通して元気をもらってます! いろいろ落ち着いたらまたぼちぼち返信していきますね!)

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