第27話 相談

 アリシアはニコラのアドバイス通り、コナーに

話を聞いてみようと思っていた。護衛の問題があると思い、

最初にシャアルに聞いてみた。

シャアルが聞いたとたん、その時に部屋にいたメキディスとマチューは

固まってしまい、叫んだ。

「シャアル……!!」

「気持ちは分かるけどさ……!!僕たち凍っちゃうよ!!」

「……すまない」

相変わらず、不可抗力だとでも言うように、

悪いと思っているようには見えなかった。

マチューはため息をついて言った。

「いや、ごめん。シャアルは最大限抑えているんだよな。

それは分かってる。でもさ、君の能力と同じで

反応が早すぎるんだよなぁ。ついつい身の危険を感じるんだ」

それを聞いて、メキディスも言った。

「そうだな、シャアルの気持ちも分かるな。

ただこっちもビックリするからさ、大きな声が出るのは

許してくれ」

それを聞いたシャアルは、驚いたように目を開いた。

「……いや、私も自覚はあるからな……。

驚かせてすまない。いくらでも叫んでくれ」

マチューとメキディスは顔を見合わせた。

「うん……。解決になってないけど……お互いに

落とし所だな。それで手を打とう」


 結局、アリシアは昼休憩にコナーと話すことになった。

シャアル達は少し離れた所で食事をする。

シャアルはぜひとも同席したかったのだが、

コナーに、それではアリシアの本音が聞き出せないよ?と

言われ、しぶしぶ引き下がった。

コナーは、アリシアの事になると急に感情的になるシャアルに

そんなシャアルも良いなと思っていた。

普段のシャアルは、表情も出にくいし寡黙で近寄りがたいのだ。

でも、アリシアに全てを捧げるシャアルは幸せそうで、

感情豊かで、楽しそうに見える。

コナーは恋って良いなぁと思い、自分も幸せな気分になるのだ。


反対にシャアルは、コナー相手だといつものペースが保てないと思っていた。

別にコナーが嫌いなわけではない。穏やかで良いやつだという所は

変わらないし、細やかな気持ちを持っているコナーに感謝することもある。

ただアリシアの事になると、どうにもコナーに一本取られるというか、

彼の方が、余裕がある感じがする。

普段のシャアルには、けっして考えられない状況だった。


アリシアも、申し訳なさそうに言った。

「シャアル様、ごめんなさい。シャアル様に聞かれても困る事はないの。

本当よ。私、隠し事はにがてだし、嘘をつくのも得意じゃない。

ただ……、人族に特徴や、恋に落ちるとどうなるか聞きたくて……、

だから、その……少し恥ずかしいの……」

はにかんだアリシアを見て、シャアルはしようがないと思い

いつものとろけるような笑顔になった。

「アリー、良いんだ。私はつい君を独り占めしたくなる。

君の事を疑っているわけではない。

コナーに色々聞いておいで」

パッとアリシアが嬉しそうな顔をする。

「シャアル様、ありがとう」


その様子を見ていたコナー達は、やれやれとホッと息をつく。

このとろけるような笑顔のシャアルを見ると、

分かっているとは言え、あまりの溺愛と変貌ぶりに

脱力してしまうのだ。


幸せそうだから、まあ良いか……。

同僚たちは、皆そう思うのだった。

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