04




別棟にまで機械に異常が出始めた。


保冷剤が来ない。






ふざけるな。 かのじょ は ずっと ここにいるのだ。 ぼろぼろになって こいつのせいで これがあるせいで。


頭の中がふつふつと、暑さでまともに考えられないのに苛立ちでぐるぐるにかき混ぜられて狂いそうだ。


ついに、彼女が倒れた。


俺は我慢ができず。 

容器をテープで何重にも巻いて空気を遮断した。


「はっ!!これで流石にバケモノでも窒息するだろ!」


容器を蹴り、中から小さい呻き声が聞こえた所で……悲鳴が上がった。


母親だ。


俺を押しのけて 容器に巻き付いたテープを急いで剥がした。



「何をしているんですか!この人殺し!!」

「人殺しはどっちだよ! それのせいで彼女が倒れたんだ! 施設もめちゃくちゃだ!何も動きやしない!」


たまりきったストレスで、汗だくのまま母親に食って掛かった。


「それさえなければ!こんな研究、早めに打ち切ってれば良かったんだ!!」


母親は子をぎゅっと抱きしめて 下唇を噛んだ。


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