第2話 シェア✨ダーリン✨💕

 ※。.:*:・'°☆※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆




 その日まで、僕は真っ当な人生を送っていた。




 その日までは……。





 僕の名前は、星野ヒカル。 


 一浪の末、やっと念願の大学へ進学した。


 今日から念願のだ。


 ようやく親元から離れられたので、伸び伸び出来る。


 前途を祝すように、空は青く澄んでいた。

 春だと言うのに異様に暖かい。



 いや、暑いと言った方が適切だろう。

 歩いているだけで汗が滲んだ。


 この分なら日中は、三十度を越えるだろう。

 


 僕は今日から厄介になる下宿先へ向かって歩いていた。



 都心から程近く、最寄りの駅から徒歩で三分あまり、格安の【シェアハウス】だ。



 こんな物件で、敷金、礼金なしで家賃が4万円を切るなんて夢のようだ。



「ン……😔💦💦」

 スマホの案内では、この辺りだ。



「おおォ~ー😆🎶✨ スッゲェ~ーー……

 このお屋敷かァ~…❗❗❗」


 ようやく見つけた物件は、見上げるくらい豪華な西洋風のお屋敷だ。



 三階まである格式高い洋館で、ちゃんと門まであった。



「うゥ~ン……」なんて、壮観なんだろう。

 洋画でしか見た事のない邸宅だ。


 僕は、口をポカーンと開け唖然として見上げた。


 シェアハウス【パラダイス】。

 


 今日から、豪邸ここの部屋をシェアするそうだ。


 これだけ大きく立派なら部屋数もたくさんあるだろう。


 ここに決めて正解だった。

 まさに、【楽園】だ。



 

 何しろ新型感染症コロナの所為せいでリモートの映像だけ見て決めたので、実際に来るのは初めてだった。



 いったいどんな人が住んでいるのだろうか。


 美女ばかりだと聴いたが。



 期待で胸がワクワクしてくる。

 ちょっぴり不安も感じるが……。



「ン……😔💦💦💦」

 腕時計を確かめた。

 まだ約束の時間には充分余裕がある。



 いや、どちらかと言えばちょっと早く来過ぎたくらいだ。

 約束の一時間前に到着してしまった。



 もう少し、このシェアハウスを探すのに手間取ると思い、余裕を持ってやって来たのだ。



 だが、遅刻するよりはずっと良いだろう。

 いつもの事だ。


 用心することに越した事はない。



 もし向こうが、まだ用意が整っていないのならシェアハウスの近所まわりを散策しても良い。



 最寄りのコンビニの場所など自分の目と足で確認する必要がある。



 第一、相手を待たせるのは心苦しいが、待つのはそれほど苦ではない。




 取り敢えず、門にそなえ付けられたインターフォンを押した。



 こんなセレブな邸宅へお邪魔するのは初めてなのでドキドキしてしまう。


 かなり待ったが何の応答がない。



 その間も何人もの通行人が僕の背後を通り過ぎていった。



「ン……😔💦💦💦」

 どれだけ時間が経過したのか。

 腕時計を確かめた。思ったより時間は経っていない。



 もう一度、インターフォンを押すか、それとも引き返して時間をつぶすか、迷っていると突然、インターフォンの向こうから笑い声が響いた。



『キャッキャ~ーーッ🎶✨ もう来ちゃったのォ~ー……✨👄🎶✨』

 たぶん女の子だろう。


 声から察すると、歳の頃なら女子中高生くらいだろうか。


 モノ凄く甲高いアニメ声だ。

 キンキンして、耳が痛くなりそうだ。

 


「え…、あ……ッ、どうも……😔💦💦💦

 すみません」

 やはり一時間前では早過ぎたみたいだ。


 僕は誰も居ない門に向かいペコペコと頭を下げた。



「……😒💦💦💦」

 背後を通る通行人が奇異な眼差まなざしをこちらへ向けた。


 無理もない事だ。


 僕が誰も居ないのに、ペコペコと頭を下げているのが可笑しいのだろう。


 

『もォ~ー早いよ。早すぎィ~ー❗❗❗

 約束の時間は、まだでしょォ~ー🎶✨』

 向こうは矢継ぎ早に文句を言ってきた。



「ハ、ハイ…… あのォ~… すみません。

 早すぎたら出直して来ましょうか」

 また丁重に頭を下げて相手の出方をうかがった。

 


『もォ~ー、どんだけ早いのよォ~ー❗❗

 全然、早いよォ~~ーー❗❗

 おバカなのォ~ー。ねェ~……❗❗

 どんだけ早漏なのォ~ー❓❓

 早すぎィ~ー❗❗❗』



「えッ、そ、早漏…… ッてェ……😳💦💦」

 いきなり強烈に侮辱ディスられて二の句がげない。


 恥ずかしくて顔が真っ赤になってしまった。


 

『なんなのォ~? 早ければ良いと思ってるのォ~ー❗❗❗

 女の子の中に入れた途端、生でしちゃうタイプゥ……❗❗❗

 何、勝手に腰振って、してンだよ❗❗

 信じられなァ~い❗❗❗』

 


「いやいやァ~…、信じられないのはこっちですよ……。

 勝手にッてェ……❓❓

 どんなタイプですかァ~……😳💦💦💦」

 マジかよ……。

 顔が、真っ赤になってしまった。



 可愛らしい女の子のクセにどれだけ下ネタ好きなんだ。



 約束よりも早く到着した事と、生では、まったく関係無いだろう。



『今、お風呂入ってて、ミュウミュウは、真ッなんだからァ~……❗❗

 何よ。どんだけミュウミュウの全裸ヌードを見たいワケェ……❓❓

 ロリコンのド変態なのォ~ー❗❗❗』



「えェ……😲💦💦💦 いえ、別に、全裸ヌードを見たくて早く来たワケでは……」

 だが、つい全裸の美少女を頭の中で想像してしまった。



 一気に下半身が熱く火照ほてってきた。



『もォ~何、考えてンの❗❗ ミュウミュウだって、お風呂タイムがあるんだからァ~❗

 少しは時間を考えてよォ~ー❗❗

 このロリコンのド変態ヤロォ~~ー❗❗』


「いやいや、ロリコンのド変態ッてェ……

 そうですねぇ…… どうも、貴重なお風呂の時間に失礼しました」

 さっきからずっと平謝りだ。

 

 どうやら、今の通話で解かった事は、このの名前は『ミュウミュウ』って事らしい。


 変わった名前だ。

 それともニックネームなのだろうか。



「じゃ……、そうですねェ…… あと十分くらいしたら、また参りましょうか」

 チラッと腕時計を確認した。


 やはり出直してきた方が無難なのだろうか。



『いいわァ~……。せっかく来たんだから、じゃ、面倒だからミュウミュウと一緒に、お風呂入ってくゥ~ーー✨😆🎶✨』

 ジョークなのか、本気なのか、解らないトーンだ。



「え、ミュウミュウさんと一緒に、お風呂をですか……😳💦💦

 それは、ちょっとォ~ー、困りますよ」

 恥ずかしくなって頬が真っ赤に染まった。



 まだ顔も会わせたこともないのに……。

 美少女と風呂へ一緒に入いるワケにはいかないだろう。




『ま、良いわァ~… じゃ、門のカギ開けるから待っててェ……』

 ようやくお許しが出たみたいだ。



「いや、あの……」上手うまく二の句がげない。

 間もなく門のロックが解除され開いた。


 人が通れる分だけだ。


「ン……」このまま引き返すのも面倒だ。

 

 そるそる門をくぐると周りは緑の木々が覆っていた。

 これならセキュリティーは万全だろう。


 エントランスまで歩き、今度は玄関のドアのインターフォンを押した。


 少し間があき、屋敷の中がドタドタと騒がしくなった。


 おそらく応答した女の子が玄関こちらへ駆けて来ているのだろう。


「ン……😓💦💦」

 そんなに慌てる必要はないのに……。


「あ、ゴメン下さい。星野ヒカルです」

 一応、僕はドア越しに大きな声で挨拶をした。



 ガチャガチャッと騒がしく屋敷の中からドアの鍵を開けているみたいだ。



「あのォ~…… そんなに急がなくても結構ですよ」

 取り敢えず、ドア越しに声を掛けておいた。


 ガチャッと音を立ててドアの鍵が開いた。


 すぐさま重厚なドアが開き、いきなり淡いブルーのバスタオル一枚巻いた美少女が僕に飛ぶように抱きついた。



「キャッキャァ~ーッ ダーリン✨😆🎶✨」

 悲鳴のような歓声をあげ美少女が僕に抱きついた。


 柔らかなオッパイが僕の胸板に押しつけられる。



「えッ、え、え、え、えェ……😲💦💦💦

 ダーリンッてェ……❓❓❓❓」

 なんなんだ。それは……。


 突然、抱きつかれたので、ただでさえビックリだ。


 モノ凄く可愛らしい美少女だ。

 こんな美少女と付き合えたら本望なのだが……。



 仄かにシャンプーの匂いだろうか。


 それとも美少女特有のフェロモンなのか。

 ピーチのように甘い香りが僕の鼻孔をくすぐった。



 風呂から上がってちゃんと拭いていないのだろう。


 バスタオルを巻いているがビショ濡れだ。



「あ、あのォ~……😳💦💦」ヤバい……。

 僕まで、美少女に抱きつかれてビッショリと濡れてしまった。



 お漏らしをしたようにパンツの股間までグッショリだ。



「キャッキャ~ッ✨😆🎶✨ ヒカルにそっくりじゃン✨💕」


「あ、どッ、どォ~も……😳💦💦」

 人気急上昇のイケメン人気男優の渡瀬ヒカルのことだろう。


 そんなに似ているのか。

 最近はどこへ行っても言われている。


 

「フフ…… ビショビショッねェ……

 取り敢えず、ダーリン🎶✨💕💕

 入ってェ、入ってェ~ーー……✨✨」

 いきなり美少女に腕を掴まれ、屋敷の中へ引っ張り込まれた。



「どッ、どうも……😳💦💦 お邪魔します」

 僕は女の子に抱きつかれたのが人生で初めての事だ。


 どうして『ダーリン😆🎶✨』と呼ばれたのかも不明だ。


 心臓がドキドキして何から話し始めたら良いのか、解からない。



「ねェ、早くゥ~…… こっちよ。こっち」

 バスタオル姿の美少女は愉しそうに手を引っ張り、僕を屋敷内へまねいた。



「えェ……、はァ~…」

 気づくと僕は美少女に屋敷の中を案内された。


 ドンドン屋敷の中へ入っていく。



 見たこともないセレブなお屋敷だ。

 廊下に、絵画が飾られてあった。


 まるで、洋画の中へ飛び込んだみたいだ。



「さァ~…、この部屋よ」美少女は僕の尻をペロンと撫でるように押した。


「うッ、わァ~…😲💦💦」いきなり思いっきり、お尻を撫でられてビックリした。


 僕がやれば、完全にセクハラ行為でアウトだろう。



「あ、あの…… 僕は今日からシェア……」

 まだ言い終わらない内に美少女が、また抱きついた。


「ひゃァ~…😲💦💦💦」ドキッして声が引っくり返った。



「フフッ✨👄✨💕 そんなに驚かないで。

 ここき部屋だから邪魔が入らないわ❗」

 美少女は、小悪魔のように瞳をギラッと輝かせた。



「えェ……😳💦💦💦」邪魔ッて……。

 いったい何の邪魔なのだろう。









 ※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆

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