第44話 担当女神は貧乏神(5)
「もう……いいわ。で、そのスキルはどういったスキルなのよ」
「知りません……」
「へっ? 知りませんってどういう事?」
「だって、このスキル、現品限りの値引き品で、説明書がないんですよ」
「あんたアホなの?」
「アホじゃないです。プアールです!」
「名前じゃないわよ! スキルの内容が分かんなかったら、どうやって使うのよ!」
「フィーリングとか?」
「何がフィーリングよ!」
「大丈夫ですって! megazonの商品は親切設計ですから、大体、条件が整えばオートで発動しますって」
「で……その条件とは?」
「さあ?」
「やっぱり、バカだろう! バカ!」
「だから、バカじゃないです! 女神プアールですって! 何度言ったら分かるんですか!」
「もういいわ……で、私はどうしたら家に帰れるのよ……」
「あなたバカですか? 話聞いてました? お耳大丈夫ですか? アーアー聞こえてますかぁ?」
「プアール! あんたどつくわよ!」
「スミマセン! だって、さっき説明したこと忘れていたと思ったので……」
「魔王を倒すためにどうすればいいのかって聞いているのよ!」
「そうでしたか……なら、近くの町に行って、装備を買ってレベル上げ、それから魔王をぶっ飛ばして、生き残ればクリアーです。簡単でしょ」
「ちょっと……端折りすぎじゃない……要は、街に行って装備の購入ね。だったらお金ちょうだい」
「ありませんよ……」
「なんでよ!」
「だから、さっき言ったじゃないですか! そのスキルで全財産使い切ったんですよ! 全財産! お金なんて1円も残ってないですよ」
「本当に! ちょっとそこでジャンプしてみなさいよ!」
「えっ……」
「早くしなさいよ」
「本当に跳ばないとダメですか……」
「嫌なら、有り金全部出しなさい!」
「全部ですか! そんな……今日のご飯が……」
しぶしぶプアールは、ポケットの中から小銭を取り出した。
「何? これで全部? 30円しかないじゃない! ちょっとジャンプしなさいよ!今すぐ!」
「いくらでも飛んでやりますよ! ほれ! ほれ! これで満足ですか! あぁぁ!」
「分かったわよ。これでいいわよ」
「えっ……持って行っちゃうんですか……」
「当然じゃない」
「そんなご無体な……せめて10円だけでも残していただけませんか……」
「今時10円じゃなのも買えないじゃない! 消費税込みで11円よ!」
「この世界には消費税なるものはございません……」
「素敵じゃない!」
「ただ……物品税なるものがございまして、最高50%まで課税されます」
「何そのぼったくり……」
「この世界で生きていくには、結構お金がいるんですよ……」
「女神さまも大変ね……」
「あ……返してくれないんですね……これからどうしよう」
「で、町はどっち?」
「……あっハイハイ。それでは、プレイする町へ転生させますね」
「こことは違うんだ」
「いやだなぁ。ここは女神たちの世界ですから……魔王がいるはずないじゃないですか」
「すでにあんたが魔王級ですけどね」
「それじゃ、新しい世界に行ってらっしゃいぃぃ……あっそうそう、ゲーム中に死んだら本当に死にますから注意してくださいね」
「そういう事は早く言ってぇぇぇぇぇぇ」
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【興味ある人いる? プアールのステータス】
氏名 プアール
年齢 16歳
職業 megazon配送センターアルバイト
レベル 33
体力 3,000
力 899
魔力 0
知力 1
素早 5
耐久 9
器用 15
運 0
固有スキル 女神(たぶん)
死亡回数 0
右手装備 なし
左手装備 なし
頭装備 ポニーテール
上半身装備 megazon制服
下半身装備 megazon制服スカート
靴装備 megazon制服の靴
攻撃力 899
守備力 10
所持金 -350,4234(携帯代未払、水道代未払、家賃未払、電気代未払、何もかも未払!)
担当 優子
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