第43話 担当女神は貧乏神(4)
優子は、声を張り上げた。
「それなら、さっさとクリアーしないと! どうすればいいのか教えなさいよ!」
「いたって簡単なことです。魔王を倒して最後まで生き残ればクリアーです」
「ちょっと魔王って、ロープレじゃないんだから!」
「いや、ロープレです」
「ロープレなの……」
「はい……」
「私嫌いなのよね……ロープレ」
「なんですと!」
「だって、かったるいじゃない。レベル上げとか」
「それを楽しむのがロープレじゃないですか」
「そうだ! あなた女神なんでしょ! だったらお約束のレベルカンストとか、魔王を一撃で倒せる武器とか頂戴!」
「何でですか……」
「異世界転生もののお約束じゃない! 転生した主人公がとてつもないスキルや武器を使って無双する! いいじゃない」
「そんなのアリマセン!」
「ないのぉ!」
「いや……ないことはないのですが……そこまで立派なものがあるというわけではなくて……」
「何言っているのか分からないのですけど! ハッキリ言ってもらえます?」
「はい! あの実は、その……確かに女神特典というのはあるのですが、それは、私が購入してあなたに与えるというものでして……」
「あるんじゃない! だったらすごいの頂戴よ!」
「実は……私自慢じゃないですけど、結構貧乏でして。今もこうしてmegazonで配達のバイトをしている身でして……」
「だから」
「その……要はお金がないんですよ! 私!」
「なんで私に向かってキレるのよ!」
「だって、さっきから何か寄こせってばっかり言っているじゃないですか!」
「当然じゃない! それが女神特典ってやつでしょ!」
「だから、私お金がないんで、こんなものしか買えなかったんですよ!」
プアールは、一枚の紙を取り出した。
それは長細い長方形。
まるでお札である。
「なにこれ?」
「スキルですよスキル! それも固有スキル!」
「いや、それは分かるんだけど、何? この『貧乏性』って……」
そう、お札には、デカデカと貧乏性と書かれていたのだ。
「お見それしました! スキルを言い当てるとはさすがです!」
「いや……普通に書いてあるじゃない……貧乏性って」
「えっ? 読めました? いやぁ読めないと思っていたので……」
「普通に日本語じゃない!」
「日本語じゃないですよ! 女神語ですよ! 女神語!」
「どっちでもいいわよ! 貧乏性ってなによ!」
「これに特に理由があるわけではないのですが……」
「ならどういう事よ!」
「私が買えるスキルがこれだけだったんですよ。なんと、半値八掛け二割引しかもタイムセールで50円引き!」
「一体いくらだったのよ!」
「270円です……」
「はぁ! 270円って転生者に渡すスキルが270円でいいわけ?」
「だってしょうがないじゃないですか! 私の全財産でもぎりぎりだったんですから!」
「あんたが貧乏性じゃ!」
「よく言われます……テヘ」
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