第3話 転校生の予定。

「目標発見だ」


 下校時。


 前を木夏が歩いていた。


「ひlkfいhgvのいあgjぱおjgぱkjわjgかあklkgぁj:ぉjが:jjgld;dsじゃgぁ:lfl:あkljfl:がsgグハアアアア!!!!」


 腕を振り回し、奇声を上げ、木夏に接近する。


 木夏は振り向きざま、俺の鳩尾みぞおちに正拳突きした。


「は、春崎君だったの!? いったいどこまで変人なの!?」


「殴るなよ。軽いスキンシップだろ」


「触らないで! 臭くなるでしょ!」


「俺は生ゴミか」


「うんこよ」


「女子のセリフじゃねえな」


「そうね。変人同士、仲良くしましょ!」


「そうだな」


「あははは!」

「あははは!」


「って、誰が変人よおおおおおおおおおおお!!!」


 ボカッ!


「木夏が自分で言ったんだろ!」


 なんで、また殴られたんだ!?


「で? どうしたの、春崎君。一緒に帰りたいの? だったら、一緒に帰ってあげないこともないわ!」


 木夏は嬉々として、俺の横を歩き始める。


「明日、予定あるか?」


「ほへ!?」


 木夏はピシッと硬直した。


 顔がみるみる赤くなる。


 指をモジモジ。


 眼をキョロキョロ。


「予定? ど、どうだろ」


ひさぎと後輩女子で街を案内する」


「ひひひひひひひさぎ君んんんんんん!?」


「ああ」


「でも、私と出かけても、そんなに楽しくないかも。盛り下げちゃうかも」


「俺は人呼んで冷笑を呼ぶ天才だ。任せとけって。あははは!」


 俺は今、顔で笑って、心で泣いてる。


 心で泣いているッ!


「そうだよね。うん。なら・・・・・・・・・・・・行こっかな」


「よし」


 俺は小さくガッツポーズした。


「どこに行けばいいの?」


「それはだな」


 明日の打ち合わせをしながら、ゆっくり歩く。


 木夏はうつむき、口数が減っていた。


 木夏が少し距離をつめる。


 数センチほど。


 それは、肩と肩がぶつかるぐらいの距離だった。

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