第三章 俺、親友、転校生、後輩、ダブルデート。

第1話 上の空。

「ほへー」


「もう昼休みだぞ。口から出ている魂をなんとかしろ」


「ほへー」


「ダメだ。掴もうとしても魂は掴めない」


 親友の口の前で、俺は手をグーパー動かす。


 級友たちが俺を変な目で見た。


 ・・・俺、何してるんだろう。


 親友は上の空うわのそらだ。


「悩みか?」


「あー」


 親友は逡巡しゅんじゅんする。


 0.3秒後。


「木夏さん、どう思う?」


「どうって・・・」


「少し気になるんだ」


「そうか」


 親友と木夏に、ただならぬ気配があった。


 俺はあごに手をやる。


 状況や流れを推理すいりするに、


 木夏が以前話した結婚を約束した人もう半分のビー玉の所持者親友ちゅういちだろう。


 だが、再開したが、お互いの距離感が分からない。


 気になるけど近づけない。


 ハリネズミのジレンマだ。


 木夏も時折、チラチラ視線を送っている。


 いや、俺を不審人物を見る目で見ていた。周囲の生徒と同様に。


 木夏は見ていませんよと言わんばかりに、サッと視線を戻す。



 うぜええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!



 俺は頭をガリガリかき、立ち上がった。


「まあいい。俺が何とかしてやる」


「え?」


 そう言って俺は、教室から出るのだった。

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