第5話 2人の気持ち。

 帰り道。


 ポケットに手を入れて空を見上げた。


 どこかで聞いた言葉が頭をよぎる。


「人間はいつだって、もう半分を探している、か」


 どうやらそれは、俺ではないようだ。


 俺は自嘲気味に笑い、帰路を辿るのだった。







 病室。


 木夏はクシャクシャのノートに、字が書かれているのに気付いた。


 大きな文字で、派手はでに書かれている。


「はやく元気になれよ、か」


 おかしなことばかり言う男の子のことを思う。


 木夏はクシャクシャのノートの切れ端を持ち、クスリと笑うのだった。

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