第3話 入院している木夏に面会する。

「ほえ?」


「よ」


 木夏はハトが豆鉄砲を食った顔をした。


 ベッドに座り、教科書を読んでいる。


 ・・・よかった。


 木夏が高熱で苦しみ、寝たきり状態かもと心配だった。


 だが、きょとんとしている木夏を見て、内心ホッとしている。


「調子は?」


「ほぼ正常。明日、退院する予定よ」


「そうか」


「それより」


「ん?」


「なんで春崎君がいるの?」


「救急車を呼んだのは俺だ。だから、入院しているのは知ってたんだ」


「助けてくれたのって春崎君なんだ」


「ああ」


「ありがとうね」


「気にしなくていい。それと、これ」


「はえ?」


 俺は薬のケースを出した。


「俺のカバンにあった。昨日、ぶつかった時にまぎんだと思う」


 木夏のこめかみに青筋が浮かぶ。



「犯人は春崎君かああああああああああああああ!」



 木夏がプロ野球選手顔負けの剛腕ごうわんで、教科書を俺に投げつける。


 ヒュー、グサ。


 俺の右目に入った。



「うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」



 右目を押さえ、床をゴロゴロ転がる。


 病室の人たちや、廊下を歩く人たちに見られた。


 顔が真っ赤になる木夏。


「しーっ! 病院なんだから静かにしてよ!」


「お前がやったんだろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

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