第二章 半分と半分の再会。

第1話 春眠暁を覚えず的なほど眠い朝。

 次の日。


 俺は教室に入る。


「シュウが社長出勤じゃない!?」


「・・・俺は社長ではなく修行僧しゅぎょうそう。では、瞑想めいそうする」


 俺は席に座るなり、机にした。


 昨夜、あまり寝れなかった俺は深い眠りに落ちる。


「そーんーなーこーとーいーうーなーよー!」


 親友が机をドラムのごとくリズムカルにダダダダ叩いてくるが、その程度で俺の睡眠を妨害ぼうがいするなど片腹痛かった。




 数分後。


 肩をちょんちょんとつつかれる。


 親友の指ではない。


 誰だ?


 俺は体を起こし、振り返った。


 眠そうな目をした女の子がいる。


「・・・春崎はるさき先輩せんぱい


ひいらぎか」


「・・・おはようございます」


「うん」


「・・・頭に腕のあとがついてます」


「カッコいいだろ」


 ひいらぎのジトッとした視線。






「・・・だから、春崎先輩はモテないんです」








 後輩の一言が俺の心をえぐる。


 しかし、俺は傷ついた素振りは一切見せず、つよがった。


「俺の魅力は分かる人間にしか分からない」


「・・・いるんですか?」


「1人ぐらい見つけたい」


「・・・願望」


 ひいらぎがスススと近づき、俺の耳に口を近づけた。


「・・・聞きました。先輩、冷笑を呼ぶ天才なんですか?」


「グハアアアア!」


 トラウマッ!


 俺は血を吐いて机に倒れた、ような気がした。


「・・・フフフ」


 ひいらぎがとぼしい表情で、俺にだけ聞こえる声で笑うのだった。

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