第3話 小学生のやり取り。高校生バージョン。

 授業中。


 ヒュー、ポトン。


 机にクシャクシャの紙が落ちる。


「ん?」


 木夏を見ると、ジェスチャーで紙を見ろとウネウネしていた。


 紙を開く。


『隣だからって、気安く話しかけないでね』


 木夏はプイッと明後日の方を向く。


「・・・はあ」


 ガキだな。


 俺は紙をポケットに入れる。


 いちいち相手にするのも大人げない。


 事を起こさなければ、トラブルは起きないだろうし。


 俺は事なかれ主義のスタンスにてっするとしよう。


 とりあえず、俺はノートを破り。


 うんこと書いた紙をクシャクシャに丸め、木夏の机に投げつけた。


「・・・」


 木夏が紙を開くと、顔を真っ赤にしてワナワナふるえている。


 プププッ。


 あースッキリした。さて、授業に集中しよう。


 ヒュー、ポトン。


 また、クシャクシャの紙が飛んできた。


 紙を開く。




『ちんこ』




「ブッ!!?」


「授業は静かに聞きなさい、春崎ッ!」


「・・・す、すいません」


 木夏がいたずらっ子みたいにニタニタ笑っている。


 こめかみに青筋が浮かんだ。


 俺はさらにノートを破り、うんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこ、と紙にビッシリ書き、木夏に投げつけた。


 紙を見た木夏は歯を食いしばって鬼の形相ぎょうそう


 悔しがってる悔しがってる!


 ヒュー、ポトン。


 紙を開いた。




 あほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほあほ。




 ニタニタ笑う木夏。


 ・・・あの野郎ッ。


 俺はさらにノートを破った。





 数分後。


 ポケットがパンパンになり、不自然にふくらんでいる。


 ノートは表紙と背表紙だけになり、白紙のページが無くなった。


「はあ、はあ、はあ、はあ」

「はあ、はあ、はあ、はあ」


 俺と木夏は睨み合う。


 俺は消しゴムを細かく千切ちぎり、指ではじいた。


 木夏は人差し指と中指でキャッチする!


「何ッ!!?」


 木夏はキャッチした消しゴムの欠片かけらを指ではじく。


 俺の鼻の穴に入った。




「グハアアアアオエオエオエオエオエオエオエオエjkfぁjhふぉいほgwjごいjっごrjぺrわgjぽぱが!」



 

 俺は椅子から崩れ落ち、苦痛の声を叫びながら、床でもがき苦しんだッ!


 消しゴムの欠片かけらが鼻の奥にあるような、喉に引っかかったような感じになり、うまく呼吸ができない。


 突然、陸に放り出された魚のようにバタバタ苦しみ出した俺を見て、先生のみならず、クラスメイトたちもドン引きだ。


 ただ一人、木夏だけは邪悪な顔でニタニタと笑っていた。


 ・・・理解した。


 コイツの相手をするとろくなことが無い。


 俺は事なかれ主義のスタンスにてっすることを強く誓った。

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